勝負の秋へ
厳しい暑さも過ぎ去り、冷たい雨風が吹き付ける。秋の日は釣瓶落としで、あたりはもう真っ暗だ。そんな中、真誠館2階・居合道部の道場からは煌々と光が漏れ出している。聞こえてくるのは稽古に勤しむ剣士たちの声だ。西日本の敗戦から3ヶ月半、剣士たちは夏を乗り越え一段とたくましくなっていた。
気付けば第56代も折り返しを過ぎていた。前期を振り返り、一番に思い起こされるのはやはり西日本での敗戦だろう。だがこれが剣士の心に火を灯し、彼らを動かす原動力となった。
本格的な夏を前に、幹部は運営体制から指導状況・部の雰囲気まで一から細かく振り返った。自分たちの演武でもミスが見つかり、その一部を下級生が誤って真似していた。これらの反省を踏まえ、受け継いだ伝統をベースにしつつ稽古内容を若干修正。部全体で今後の目標を共有し、再スタートを切った。そうして普段の稽古はもちろん、合宿もより充実させ鍛錬の日々を過ごした。

団体戦に臨む代表メンバー5名
昨年秋の西日本大会。2回生の部で堂々の優勝を飾ったのが主将・勝田(理工3)であった。また準決勝で勝田に敗れはしたものの、副将・見崎(生命3)も大健闘。秋は期待の2回生が頭角を表す時期でもある。
「技術面はもちろんだが、上回生としての自覚にも目覚めてほしい」(勝田)。監督やコーチが来るのは週に1回ほどで、稽古は主に3回生が指導する時間だ。自分のミスは部全体の誤認につながりかねない。技術だけでなく知識や指導力などが求められる。2回生も来年度には新幹部として部の中心となる。この秋彼らには剣士として、組織の運営者として一層の成長が期待される。

演武を披露する見崎(生命3)
目指すは日本の頂。さらに主将・勝田(理工3)が語る「王者の復活劇」は、全試合5-0での完封優勝だ。チームの状況にはまだ満足せず、「団体戦メンバー全員を個人全日本優勝レベルへ」と高みを目指す。
もう一つ、復活には「日本一の道場」も必要である。壁を破るような大きな声や徹底された礼儀作法は、道場の雰囲気作りに欠かせない。「これでもまだゆるいと感じる時がある」。部の成長を日々感じながらも、主将の表情は険しかった。日本一がいかに尊いものか。この秋は、長く続いた茨の道を抜けなければならない。声や表情から「勝負の秋」への決意が溢れ出していた。

演武を披露する勝田(理工3)
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長く続いた雨風が、肌寒い秋の訪れを感じさせる。それでもあの日彼らの心に灯された火は、決して消えることはない。苦しかった鍛錬の日々が、熱い闘志となり彼らの心を燃やし続けている。再び頂へーー。闘志は溢れんばかりの光とともに、この秋進むべき道を照らしている。(高里陽太)