10月2日、花園ラグビー場(大阪府)にて行われた関西大学ラグビーAリーグ、対摂南大。同志社は終始攻め込み、92-7と快勝した。
大量得点でスタンドが沸く中、紺グレをまとった寡黙な男はただ静かに立っていた。卓越したラグビーセンスで相手を翻弄する15番。この試合でMOMに輝いたのは崎口銀二朗(経4)。
2年生からディフェンス最後の砦、FB(フルバック)を任されてきた。相手の戦意さえも砕き割る”爆裂タックル”。昨年の大学ラグビー選手権、2点差で惜しくも敗れた大東大戦でも悔しい思いを経験した紺グレの一員。全国の頂点を求めて、今年もグラウンドへ立ち続けている。
FBが痛みから逃げることは失点を意味する。そしてチームの負けへとつながる。崎口が背負うプレッシャーは計り知れない。
この日はそんなプレッシャーをはねのける素晴らしい活躍だった。
まずは前半3分。自陣でボールを回し続ける摂南大に対し、同志社はプレッシャーをかけ続けターンオーバー。SO永富健(スポ4)からパスを受けた
崎口が相手ディフェンスの間を抜け、先制トライ。「狙っていたわけではないけれど、間が空いていたので走った」。
開始早々に試合の流れを作るトライを決めた。また、前半18分にはマイボールラインアウトから逆サイドへ展開し、WTB安田(商2)がラインブレイク。安田は相手ディフェンスにつかまるが、サポートしていた崎口がボールを受けそのままトライ。その後も着実に同志社はトライを量産し、42-0で前半を折り返す。

ディフェンスを振り切るFB崎口
後半は、崎口自身トライは生まれなかったものの、摂南大の外国人留学生の強力な突破をことごとくはねかえした。「京産大戦から1週間、我慢することを意識して練習してきた」と語る崎口。ディフェンスから攻撃へ素早く切り換え、サイドへ展開する、それはまさに紺グレの目指す展開ラグビーだ
京産大戦では沈黙していたBK陣が奮起した1戦だった。
終わってみれば94-7と快勝。ボール支配率に大きく差はなかったが、失点は7に抑えることができた。MOMに選ばれたことについては
「味方が良いボールを渡してくれたので」と謙遜する崎口。しかしスタンドから見る彼のプレーは、勝利への執念を見せていた。
フルバックとは多芸多才。15人の中で一番のオールラウンダー。崎口は全てのプレーで相手を凌駕し、同志社ラグビーを支える。
頭は冷静に、プレーは熱く——。秘めたる熱い気持ちを全面に解き放ち、次戦でもスタンドを沸かせてほしい。(只松 憲)