11月18日、神戸ユニバー記念競技場(兵庫県)にて行われた関西大学ラグビーAリーグ第6節対大体大。シーソーゲームの中、終盤に同志社がトライを決めて31-24で3つ目の白星をあげた。

試合前、カレッジソングを歌う同志社
大体大のキックオフから試合が開始すると、ノックオンやノットロールアウェイなど反則が続きお互い攻めあぐねる展開となった。先制したのは同志社だ。前半12分、FB安田(商4)のアタックで5m付近までゲインし、近場を攻めていく。大体大にペナルティでアドバンテージを獲得し、同志社は右に展開。CTB永富(商4)がサイドライン際に待つWTB高野(社4)へキックパスを通し、そのままトライ。コンバージョンゴールは惜しくも外れ5-0とした。
その後は大体大に流れをつかまれた。「取られたところのリスタートで相手に乗られてしまった」(主将CTB山口・商4)。同志社のオフサイドから自陣22m~5mの大体大ラインアウトとなると、そこから大体大の重く強いFWのアタックで一つ一つゲインされていく。同23分に同志社のペナルティでゴールライン手前の大体大スクラムとなると、再び同志社が反則を犯した。すぐに出した大体大に対し、同志社も反応するがラックサイドを突かれて、被トライ。コンバージョンゴールも決まり、5-7で逆転された。さらに2分後、大体大のLO谷本の突破を許し自陣10mまで持ち込まれると、ラックから持ち出され大体大が40mの独走トライ。たて続けに2トライを決められ、5-12で突き放されてしまう。

スクラムを組む同志社

大体大の強いディフェンスに対し突破を図るHO平川(法4)
なかなか同志社の展開に持ち込めない中、同33分にゴールライン手前から人羅(社2)、永富とつなぎ永富がディフェンスを引きつけたところでサイドの高野へパス。ラインぎりぎりでトライを決めた。コンバージョンゴールは外れ、10-12と2点差に迫った。
そして前半終了間際。前節でも活躍を見せた永富がみせた。ゴール前のラックからSO古城(スポ3)、永富とボールをつなげ持ち味のステップでディフェンスをかわしトライ。17-12と5点差で試合を折り返した。

ステップで相手をかわしトライを決めた永富
後半も序盤は大体大の低く強いディフェンスに攻めきることができない。同志社のハイパントで大体大がボールをキープすると、じりじりとアタックラインを上げられていった。大体大のパスミスで一時は同志社のボールとなるが、再びハイパントで大体大にボールが渡ると、後半7分に自陣22mから左へ一気に展開された。ディフェンスが一人足りない状態でサイドを抜けられ大体大のトライ。17-17の同点となった。
しかし同志社も負けてはいない。同10分、Aチーム公式戦初出場の1年生・WTB和田(文情)がサイドを抜けてトライを決めた。7点差をつけるも、大体大は攻撃の手を緩めてくることはなかった。同志社の自陣ハーフライン付近ラインアウトはノットストレートとなり、大体大スクラムに。左に展開されてゴールライン手前まで迫られると、ディフェンスの隙を見られ抜けられて被トライ。再び同点となった。

今試合初紺グレ初トライを決めた和田
大体大のアタックに対して同志社が必死のディフェンスで食い止める展開が続いた。同33分、大体大のノットロールアウェイで敵陣22m~5mのマイボールラインアウトとなる。ボールはオーバーしたものの途中出場のNO.8ファイアラガ(社2)がキープし、そのままインゴールまで相手ディフェンスを引きずりながらゲインしトライ。31-24で今試合の決勝点となった。
ロスタイムで大体大の猛攻撃を受け最後の最後まで気の抜けない展開となったが、最後は大体大のペナルティで試合終了。ギリギリのところで凌ぎ、逃げ切った。大体大の強みであったFWに対してやや受け身になった部分はあったものの、(タフな試合展開で)「勝ってくれたのは学生たちが成長してくれた」(萩井監督)。

タックルを受けながらもゲインする山口
残るはあと1試合。大学選手権への望みは消えたが、「このままでは終われない」(山口)。一週間後に待つ最終節へ、165人の思いを一つにして全てをぶつける。(文・於保いちこ 撮影・上野孝輔、酒井華奈)
○コメント
萩井監督
大阪体育大学さんが激しくFW中心にこられるのはわかっていたので、ハードな試合になるのは予想通りでした。なんとか最後の最後に凌いで勝つことができたのは、素晴らしかったと思います。よくやってくれました。
タフな試合になるのは当然のことなので。この(今日のような)展開で勝てていなかった関学や立命の試合があったなかで、こうして勝ってくれたのは学生が成長してくれているからだと思います。
ーー残り1試合だが
最後1週間しかないのでやりきります。
ーー大体大の前に出るディフェンスについて
だからどうといったことはありませんでした。比較的アタックの方が特徴的なので、そこに対しての対策はしていました。大体大さんも先週勝っていて、ハードな試合になるとは思っていましたので、よかったです。
ーー選手権への状況は厳しいが
僕らにはどうもできない部分でもあるので、やることをしっかりとやっていきます。将来の同志社に続くように頑張っていきます。
主将・山口修平
ーー前半の入り方はいかがでしたか
なかなか普段やっているラグビーをゴール前でできなかった印象はあります。相手の強いフィジカルに対して、前にでれずトライが取れなかったので苦しい展開でした。
ーー相手から連続でトライを取られたシーンもありました
キックオフのリスタートのところですね。取られた時は僕のミスで、コミュニケーション不足という簡単なミスでした。とられたところのリスタートで相手に乗られてしまい、トライまで立て続けにとられました。
ーー相手のFWに対してどんな対策をとっていましたか
体が大きい選手を使ってフィジカルでくることはわかっていたので、ただフィジカル勝負するのではなく前に出ようと話していました。ただコンテキストのところで受けてしまい、相手に乗られてしまいました。そこは課題ですね。
ーー勝因はどうお考えですか
相手を分析したところで我慢できたことかなと思います。ショートサイドで攻めてくることは分析通りだったので、そこを実践できたのは勝因かなと思います。
ーー次節に向けて
正直今日は自分たちのラグビーが全然できなかったので、最終節はこのままでは終われないので、自分たちのラグビーができるように修正して準備していきます。
HO平川隼也(法4)
ーー試合の入りの気持ちについて
入りはすごく相手に圧倒されてしまって、チーム全体的に緊張してあまり良くなかった印象です。
ーー試合前の準備として
相手が大きいこともあったので、とにかく体をぶつけ合っていくトレーニングをしたのですが、やはり入りで圧倒されてしまいました。
ーー気持ちの面での準備は
特に何かをしたわけでは無いが、FW勝負ということで体をぶつけていこうと声かけをしていました。
ーーセットプレーについて
事前に確認した映像でスクラムが重い印象だったので、同志社はしっかりといいヒットをして我慢しようとゆうスクラムを練習して、今回の試合で練習の成果を出せていたと思います。ラインアウトも、少しミスはあったものの精度は良かったです。ただ、モールでトライを取りきれなかった事がFWとしてセットプレーでの反省点ではあります。
ーー前半と後半での違い
体を当てようと言っていたので、序盤から真っ向勝負でFWをはじめとして真っ直ぐ当たっていたが、それをアウトサイドキャリーに変えることでよりクリーンにボールが出るように意識付けをしたので後半はそのお陰で少しテンポが上がったと思います。
ーー次戦に向けて
最後の試合ということで、勝つことは当たり前で同志社がしてきたラグビーをしっかりと出していきたいです。やっていて楽しいラグビー、観ている人が楽しいラグビーをしなければ意味がないと思うのでそこも意識したいです。特にFWの面では、セットプレー、モールは武器にしていこうと話していたのでモールでトライを取りたいと思います。
LO平澤輝龍(神3)
ーー相手の大きいFWに対してどこまでDFできたか、接点について
局面でどうしても受けてしまったので、そこはもっと僕たちがフィジカルの面というよりも、スペースを埋めるとか運動量の面でコミュニケーションとかでもっとカバーできたかなと思います。あと局面でどうしても受け身になってしまったところが、1番FWにいかれてしまったところだと思いました。
ーー勝因は
個人技が多かったですけど、抜けたあとに対する集中力とかバックスがたててくれたので、そこがポイントだったと思います。
ーーチームとして課題は
どうしても局面が弱いのでもっと体張って、DFが重なったときでもしっかりとした精度で攻撃もディフェンスもしていったら同志社のペースになると思うので、それで後半ずっと良いDFができたら同志社の流れになったので、それをベースにして頑張っていきたいです。
ーー次戦に向けて
今回体張れなかったので、もっともっと体張れるようにしたいです。あとはFWのセットプレーがまだまだ課題が残ってるのでそこでももっと引っ張っていきたいなと思います。
WTB髙野蓮(社4)
ーーマンオブザマッチの感想は
ディフェンスの部分でオーガナイズできず、取れたのは嬉しいですが、課題も残る結果になりました。
ーー具体的な課題とは
外からオーガナイズすることがあまりできず、相手に突破されてしまうシーンがあったので、次は修正したいです。キックチェイスの部分は良かったので、継続してハードなプレッシャーをかけていきたいです。
ーー本日の試合の勝因は
みんなの集中力だと思います。逆転されても、チームでまとまって集中したことで再度逆転することができました。
ーー相手のアタックに対しては
試合前の分析で相手が逆側をついてくることが多いことがわかっていたんですが、1対1のタックルで食い込まれました。そこでタックルの枚数が足りなくなり、ゲインされることが多かったです。
ーー最終戦に向けての意気込み
他力本願の状況ですが、このチームで試合ができるのも最後かもしれないので全力でプレーして勝利したいです。
SH木下空(経2)
ーーリザーブだったが試合前の意気込み
僕はテンポが早いというのが売りなんですけど、それでチームの起爆剤としてアタックのギアをあげるというイメージを持って試合に臨みました。
ーー後半、同点の場面で試合に入ったが
特には何も意識していませんでした。自分のやることをやるだけだと思っていました。
ーー大体大は早いテンポでプレーする相手だってたが意識していた事
相手はジャックサイド(順目行ってから逆サイド)で攻めてくる事が多いと聞いていたので、ハーフから声でコールして、しっかりジャックサイドに残ってディフェンスする事を意識しました。
ーー同志社のリズムをどのように展開しようとしたか
僕からしっかり球出しのスピードを上げて、いつもの同志社の攻撃に繋げようとしました。でもそのプレーでトライには繋げれなかったのでそこはまだまだ課題です。実際やってみてテンポは上げれたと思うので、自分の役目は果たせたかなと思います。
ーー次戦に向けて
もし出場することができれば、後半からでもしっかり自分の持ち味を活かして同志社の勝利に繋げていければいいなと思います。
WTB和田悠一郎(文情1)
ーー初出場・先発に選ばれた理由をどう考えていますか
自分の持ち味であるディフェンスを買われたんだと思います。
ーー初トライも決められました。
トライの時は1対1の場面でボールをもらったので絶対取り切ろうと思っていました。外が空いていたので、しっかりとステップをきって最後は中央で決められてよかったです。
ーー大体大の印象はどうでしたか
FWが大きくて接点が強く、BKも大外にしっかりとボールを運んでくるいいチームだなと思いました。
ーーそんな大体大に対して自分のどんな強みを出していこうと思っていましたか
接点が強いので、しっかり半歩でもずらして少しでも自分がゲインできるように意識しました。
ーー次の目標を教えてください。
今日の課題でもあるんですが、自分の持ち味でもあるタックルがあまり出せなかったので、失点を減らせるようにしていきたいです。
ーー今試合の失点の理由はなんだと思いましたか
ゲインされた時に、相手がしっかりと乗ってくるということが強みなので、そこのところで速い戻りとポジショニングができていなかったことだと思います。
ーー次節に向け一言お願いします
スタメンで出て、次もスタメンで出られるように頑張ります