10月28日、宝ヶ池公園球技場にて行われた関西大学ラグビーAリーグ第3節対関学大。結果は33-40で同志社が敗北。試合終了間際までリードするもロスタイムで逆転を許した。同志社はリーグ通算0勝3敗とし、自力での大学選手権出場の道は閉ざされた。

試合前にカレッジソングを歌う同志社
試合中はキックの蹴りあいが多く見られ、陣地の取り合いが続いた。関学のキックが伸び、風下だった前半から自陣でのプレーが長く同志社は攻めあぐねた。
同志社のキックオフで試合が始まると関学の特徴である早いテンポの攻撃で一気に攻められ、序盤から関学に流れを掴まれた。前半4分に関学のノットリリースザボールでピンチをしのぐがその後のラインアウトで同志社がノックオンし再び関学のボールに。不穏な空気を断ち切ったのはNO.8服部(スポ3)だった。前半9分にラックから持ち出した服部が相手ディフェンスをはねのけ、先制トライを決めた。同20分にもペナルティキックから敵陣5mまで上がると、ラックからSO古城(スポ3)が持ち出しCTB永富(商4)へつなぐ。最後はWTB高野(社4)のトライ。コンバージョンゴールは外れたが、12-0と差を広げた。

相手をはねのけゲインする服部
喜びもつかの間、同23分同志社のオブストラクションで自陣5mの相手ボールラインアウトとなると、そこから一気にモールで押され関学LO杉原のトライ。その後は関学の反則でマイボールとなるがラインアウトでノットストレートとなり再び相手ボールとなる。またマイボールで展開ラグビーを見せたい場面でノックオンし、関学のボールとなると早い展開に同志社のディフェンスは翻弄されていった。
31分に同志社のノットロールアウェイから自陣5m中央での相手ボールスクラムとなり、同志社が反則を犯すと関学がすぐに反応しボールを持ち出してNO.8野村のトライ。12-12でスコアを並べられた。前半終了間際に同志社のチャンスで攻めるも、関学のディフェンスに阻まれなかなかトライまでつなげられない。同点のまま後半に入った。

スクラムを組む両チーム
後半開始早々に関学選手のステップでゴール前まで一気に攻められる。アンプレアブルで自陣5mの相手ボールスクラムになると、再び同志社の反則ですぐに持ち出した関学がトライ。12-19で逆転を許した。同志社も負けていられない。後半18分、途中出場のファイアラガがゲインし22mまで上がると、1つ1つパスをつないでいき、中央からロングパスで右に展開。永富のオフロードパスは高野につながり同点トライを決めた。その7分後にもHO平川(法4)のゲインからボールをつなぎ、22m右サイドから高野が一人でゴールラインまで持って行った。逆転トライに会場は一気に盛り上がった。
しかし、その直後に関学が左に展開していくと同志社のディフェンスが追いつかず、オーバーラップの状況を作られ被トライ。再び同点となったが、同32分にゴールライン手前で同志社が攻め続け、FL嶋﨑が隙を狙い中央にトライを決めて33-26とした。

33-33の同点をトライを決められた同志社と喜ぶ関学
油断は大敵。試合は最後の最後までわからないものだ。同36分に同志社のオフサイドから自陣22m~5mの相手ボールラインアウトとなると、ゴールライン手前で絶対に勝ちたい2校の2分強に及ぶ攻防が続いた。区切りをつけたのは関学だった。後半39分、FWに押し込まれ関学PR小西のトライ。
同点でロスタイム突入すると、同志社のキックオフがダイレクトで外に出る。相手ボールの中央スクラムからトライまでは一瞬だった。関学のWTB中から右サイドを抜けられ被トライ。試合終了の告げるホイッスルが虚しくグラウンドに響いた。
取っては取られのシーソーゲームの展開が続いたが、最後は関学に勝利の女神は微笑んだ。敗因の一つに主将CTB山口(商4)は「苦しい時に精度が下がってしまった」と大事なところでのミスを上げた。3連敗ともう後がない同志社だが、まだ4試合が残っている。ミスの多さや苦しい時にいかに我慢できるかなど課題はあるが、一つ一つ修正し「下を向かず上を向いて」(山口)、残りの試合、全力で勝利を掴みに行く。
(於保いちこ)
○コメント
萩井監督
選手は頑張ってくれたと思いますが、残念な結果だったと思います。
どっちに転んでもおかしくない試合だったとは思いますが、最後の最後は関西学院さんのやってこられたことが素晴らしかったのかなと思います。学生なのでどれだけ努力してきたかという、そういった部分で同志社がまだまだ足りないところがあるのかなと。特にブレイクダウンの部分で、この間の試合はいいボールが出なかったので、その部分は特に前半はいい感じに見られたかなと思います。どうなるかは分からないので、残りの試合しっかり戦っていこうと思います。やってきたこと以外はできないので、やってきたこと信じてやっていきます。学生なので内から湧き出てくる思いというのは引き出してあげれるようにしないといけないかなと思いますね。
主将CTB山口修平
ーー今回の試合、どのような気持ちで挑みましたか
関西学院さんは開幕戦から連勝できていて、僕らは2連敗と言う苦しい状況なのかでの戦いでした。春は勝っていますが僕らはチャレンジャーとして臨みました。
ーー関学の早いテンポの攻撃に対して何か対策はされてきましたか
タックルした後に立っている人数が多ければ、ディフェンスできるという意識はあったので、リロードの部分とディフェンスで広く立つ部分を確認して試合に臨みました。
ーーその対策に関して、試合中の出来はどうだったでしょうか
初めの元気な時間帯はできましたが、苦しい時間帯の時にその精度が落ちてしまってセットができませんでした。苦しい時に精度が下がってしまったというのが負けてしまった原因かなと思います。
ーー自陣でプレーすることが多かったようですが
相手の15番の選手が長い距離けって、いいキックだったので蹴りあいで負けてしまいました。
ーーミスが目立った場面もありました
チャレンジする部分を出すというのを意識してやったのですが、関西学院さんの粘り強いディフェンスに対して、オフロードの部分などチャレンジするところで精度が落ちミスが重なって自分たちのラグビーをすることができませんでした。
ーーチャレンジ精神、大胆さを意識した結果ということでしょうか
精度を上げていこう話はしてたんですが、そこがなかなかできませんでした。
ーー今できることは
3連敗と言う苦しい状況なのですが、下を向かず上を向いて試合に向けてしっかり準備していこうと思います。
副将HO平川隼也
ーーどのような気持ちで試合に臨んだか
去年負けているので、チャレンジャーの意識を持ってやろうと思っていました。
ーー途中出場でしたが、どのような意識を持って入ったか
前半を言ってしまえば0-0で折り返したので、しっかり流れに乗せてあげるという面でも自分からラインブレイクして、いい流れを作ろうという気持ちで試合に入りました。
ーーFW陣はどのようなアタックとディフェンスを心がけていたか
今までと変わらずしっかりとグルーピングして、孤立しないようにしました。あとはボールをいつも以上に早くクリーンに出せるよう意識してFWやっていました。
ーー本日のスクラムについて、反則も多く見えたが
外人のレフリーだったのでコールのとこで、タイミングが合っていなかった面もありました。少しずつ合わせていったら自分たちのスクラムが組めていたのでよかったです。後半で修正するのではなく、前半のうちで修正できていればもっと良かったと思います。
ーー後半のスクラムの手応えは
イメージ通りにヒットした後にチェイスすれば相手が軽かったので、後は押し込むだけだったのでよかったと思います。
ーーモールでのDFについて
前半で簡単に取られてしまったので、後半ではしっかり全員でモールに入るというイメージを持ってやりました。モール自体は止まったんですけど、それに満足してしまってゴール前ディフェンスで少し受け受けに回ってしまい、ゴールトライを割られてしまいました。モールDFは継続してやって、あとはゴール前ディフェンスを1人1人が1対1で向こう側に倒すような意識でやっていけたらなと思います。
ーー今日の試合の率直な敗因
全体的に静かだったのかなと思います。前半に2トライ取ったところで、チーム全体が波に乗れるチャンスはあったんですけど、乗り切れなかったところが敗因だと思います。
ーー自力での大学選手権の出場は難しくなったが
自力での出場は無理になったんですけど、勝つしかないので。先を見ずに一戦一戦勝ちにこだわって行きたいです。こういう泥臭い試合になっても、しっかり勝ちを収めれるような精神的に強いメンタルを作って行きたいです。
副将永富晨太郎
ーーどうゆう気持ちで関学戦に挑みましたか?
勝つしかない、みんなで勝ちにこだわって挑みました。結果的に自分たちのミスで自滅してしまったので、練習からもっと出来ることがあったのではないかと思いました。
ーー相手ディフェンスへの対策はどのようにしましたか?
最初は上がってくるイメージだったんですけど、結構流してくるものでした。後半、しっかりと自分の強みを活かして速いテンポでのアタックが出来たのでよかったと思います。
ーー今回の結果で選手権への自力出場が難しくなってしまった事に対してどう思われますか?
(負けてしまった事は)仕方のない事なので、これから自分たちのするべき事をしていくだけです。
ーー次戦に向けて、今できる事は何だと思いますか?
相手の分析をして、戦略を練ってみんなに伝えていくことだと思います。
PR中村海輝(経3)
ーーどのような気持ちで臨んだか
2連敗してきて、それをネガティブには捉えてはいなかったのですが、自力での選手権出場を考えると今日の試合は絶対に勝たないといけないということがありました。絶対に勝ちたいという気持ちで1週間準備して臨みました。
ーー試合に負けて率直な感想
正直試合に負けたことは本当に悔しいですが、試合に出ている僕らが下を向いているわけにはいかないと思います。可能性がなくなったわけでもないので本当に残りの4試合1つ1つに気持ちを入れて戦っていきたいと思います。
ーー今日のスクラムについて
全体的に押し込まれることもなく、劣勢になることもなかったので普通にやれていたと思います。ただ、練習してきたなかで試合中にもっと修正して相手にプレッシャーをかけていけたとは思います。
ーースクラムの反則について
相手とのこともあるのですが、やってきたことは出し切ってたと思います。正直、反則の判定は難しいところがあるのでもう一度試合の動画を見て僕らに悪いところがあればこの1週間で直していきたいと思います。いつも勝つ気でやっているので、やってきたことを出せれば負けることはないと思うのでしっかり継続してやっていきたいと思います。
ーー次戦に向けて
ラグビーはセットプレーが重要なスポーツだと思います。なので、バックスを生かすも殺すも自分たち次第だと思うので、もう一回立て直して、やってきたことをさらに洗練させてフォアードから勝っていきたいと思います。
SO古城隼人
ーー試合の感想を一言お願いします。
率直に悔しいです。
ーー前半は相手にペースを握られ、攻めあぐねる展開が続きました。試合にはどういった戦術や気持ちで入りましたか。
気持ちの面では、絶対に負けられない状況ということをみんなわかっていたと思います。チームとしては入りから圧倒しようと言っていたんですが、相手の勢いを受けてしまい自分たちのやりたい攻めをできませんでした。戦術も先手を取ることを言っていましたが、受けの姿勢が最後まで響いてしまったと思います。
ーー受けることになってしまった相手の良さはどこにありましたか
アタックで自分たちの空いてるところをしっかり攻めてきたところと、前に出てくるディフェンスは少しやりづらさがありました。
ーーキックで陣地を取り合うシーンが多く見られましたが、どうお考えでしたか。
前半は風下だったので、動かしながら蹴ったり、攻められる所を攻めたりとチャンスがあるところを狙っていました。後半は風上だったので、全員で話し合ってエリアを取っていこうと話していました。良い部分もありましたが、相手のロングキッカーに陣地を取られて詰まってしまったところは改善しなければいけないと思います。
ーー試合後に萩井監督が「やってきたことを信じてやっていく」と話されていましたが、「やってきたこと」が出せていない理由はなんだと思いますか。
公式戦というところで、今まで上手くいっていたところを相手に対策されて、上手くいかなくなり、自分たちが受けに回ってしまうことが多くあります。今日も負けられない試合だったのに、相手の気迫を受けてしまい、いつもはしないところでミスをしていました。冷静さが無かったように思います。そこはもう一回改善していきます。自分たちができることは残りの試合を全部勝つことなので、修正してやっていきます。