10月14日、天理親里競技場にて行われた関西大学ラグビーAリーグ第2節対天理大。同志社は関西王者の力に圧倒され、0-59で完封負けを喫した。

入場する同志社と天理
前半序盤から同志社に先制のチャンスが到来するが「取れる場面はいくつかあったのですが、そこで取りきれないというのが今の実力」(HO平川・法4)。同志社のキックオフから試合が開始すると、早速天理大のNO.8ファウルア・マキシに突破されるもパスミスでマイボールスクラムとなった。前半4分にも、天理大に走られるがFL中尾(政策2)のナイスタックルが刺さる。同7分には天理大の猛攻を必死に止め続けノットリリースザボールの反則を奪うと、同8分、天理大のキックにWTB山本翔(スポ4)がプレッシャーをかけてダイレクトキックに。その後の同志社のキックをそのままキープし、抜けると左サイドまで展開していく。ゴールライン手前のオフロードパスが通らず、ターンオーバーされるも再び天理大の反則で敵陣5m付近のマイボールラインアウトとなった。平川が突破を図るがなかなか前に行くことができない。天理大の反則が続き、マイボールスクラムやラインアウトで仕切り直すが、あと一つのところで同志社がノックオン。スクラムでも同志社のコラプシングを取られてしまい、このスクラムでPR田中翔(経3)が負傷、PR中村海(経3)と交代した。

ゲインするFL松野
同20分、天理大が一気に自陣まで上がってきたが同志社も人数をかけながら守った。しかしゴールライン直前まで迫られると、近場を攻められ続けラックから飛び出した天理大主将のHO島根にトライを決められた。28分には同志社のオフサイドから自陣5mでの相手ボールラインアウトとなりモールで押し込まれての被トライ。さらに同33分にもトライを決められ、スコアは0-19と前半から差をつけられた。前半終了間際に天理大のハイタックルで敵陣5mマイボールラインアウトとなるが、再び同志社がノックオン。19点ビハインドで後半へ入った。

突破を図る平川
「後半で相手のブレイクダウンの圧力に押されて攻撃が出来なかった」(SO古城・スポ3)。後半開始直後に天理大のNO.8に突破されあっという間にトライを許してしまった。同志社も負けじと仕掛けていくが、天理大の素早く堅いディフェンスに対して思うようなアタックをすることができない。ターンオーバーをされる場面も多く、後半6分には天理大がターンオーバーすると同志社がハンドを取られて、自陣5mの相手ボールラインアウトとなった。天理大の攻撃を止めることができずに抜けられ、今試合5トライ目を決められた。

天理のアタックに対してなかなか止められない同志社
天理大の猛攻は止まらない。11分、自陣22m相手ボールラインアウトでボールがジャンパーを越えたが天理大は素早く反応し、同志社はその反応に対して対応することができずにそのままトライを決められた。さらに6分後、天理大のWTBに同志社のディフェンスがかわされていき被トライ。
点差が開いている中でも同志社は果敢に攻めた。後半から出場したNO.8ファイアラガ(社2)がゲインしていく。またCTB永富(商4)のディフェンスでターンオーバーにも成功した。しかし「(天理大の)ディフェンスがなかなか崩れず、理想のアタックができませんでした。」(永富)と同志社の攻撃に対して天理大のディフェンスがしっかりとつき、なかなかスペースを見つけることができずにBKを走らせることができなかった。
その後29分にも得点を重ねられ、後半終了間際にとどめの7トライ目を決められた。同志社は1トライすら許してもらえず0-59の無得点で開幕2戦目を終えた。

試合終了後の挨拶をする同志社
関西王者の力に圧倒された結果となった。相手のプレッシャーに対して自分たちのラグビーを出すことができずに完封。開幕戦同様にトライまであと一歩のところで反則やミスをして最後までつなげることができなかった。ミスやアタックなど課題はあるが、課題を発見することができれば修正も可能だ。今回の負けを一人一人が考え、2週間後の試合に向けて再びチームを作り上げる。(於保いちこ)
○コメント
萩井監督
ーー2週間後の試合に向けて気持ちの切り替えは
先週から今週もすごくいい形で切り替えてくれましたので、特にそこは心配ないかと思います。(次戦の関学大は)連勝できているチームなので、気持ちは抜かさずに。
ーー先週の試合からの1週間というのはどのようなものでしたか
コーチと選手が前向きにいい1週間を過ごしてくれました。気持ちが折れていたら最初から崩れていてもおかしくなかったのですが、そのようなこともなく。最後の方は力の差はありましたけれども、いい形でやってくれたんじゃないかなと思います。
ーー接点の差も
それもあると思います。特に外個人選手も強い選手が多かったですし。本当はこちらのテンポをもっと早く取れたらよかったのですが、それをさせてもらえなかったのが(天理大の)強いところだと思います。
主将・CTB山口修平
ーー今回の点差についてどう受け止めていますか
相手の方が上だったというのはあります。相手の方が実力が上でした。
ーー実力の差というのは具体的にどのような点で感じましたか
僕らはチャレンジャーだったので、前半に先制パンチを打って流れを引き込むというのを試合前に話し合っていました。少しは成功したかなと思う部分はありましたが、敵陣に入った時にトライを取りきれなかった場面というのが象徴的なところだと思います。
ーー最初に思い描いていたアタックの仕方はありましたか。その後、試合中に対応していくことはできましたか
天理大学さんはディフェンス領土がいいチームなので、いかにポイント周辺でブレイクダウンで人数かけられるかがアタックの鍵だったのですが、なかなかボールキャリーで前に出られずに、そこで人数をかけられずに、逆に人数をかけてしまって天理大学さんの立ってる人数が多く、スペースが見つけられずに自分たちのアタックができませんでした。前半に修正できずにずるずるいってしまいました。普段ならもっとスペースがあってBKで勝負できるというのが同志社のラグビーだと思うのですが、なかなか(天理大が)ラックに人数をかけずに捨てられてしまった部分があって、スペースのない状態でアタックをしてしまい、なかなか行けませんでした。
ーー修正していく部分は
試合が終わって頭が真っ白な状態で何を修正すべきなのかが。ただ日本一と言う目標を掲げている以上、これ以上負けられません。1日大いに反省して、切り替えていきます。Aリーグの試合まで2週間あるので、しっかりと準備していい状態で試合を迎えられるようにしていきます。アタックがうまくいっていないという印象があったので、もう一回映像を見てやっていきたいと思います。
ーー京産大戦ではミスの多さをポイントとしてあげられていましたが、今回の試合ではどうでしたか
天理大学さんのプレッシャーを受けて、いつもと違う間合いだったり立ち位置だったりのいつもの自分たちのプレーができなくて、このような結果になってしまったのかなと思います。
ーー主将としてプレー以外にやることはありますか
去年は秋の試合に出れず、負け込んでいる状態を横から見ていたのですが、負け込んでいる時にチームの真価が問われると思います。去年はそこでなかなか1つになるというのが難しく感じたので、もう一回ここでチームをぎゅっと1つに、一体感を持って取り組むことが大事になってきます。その一体感をもう一度見つめ直して、全員に声かけをしていきたいと思います。どん底まで行ってしまって、這い上がるしかないと思うので、しっかりポジティブに前向きに準備したいと思います。
ーー次戦の関学大は連勝中で勢いに乗ってくると思いますが
勢いに乗らせるとすごく難しいチームなので、自分たちの流れを作れるように勢いに乗る前に入りの部分で先手を打てるようにしていきます。
副将・HO平川隼也
ーースクラムでプレッシャーを受ける場面がありましたが
セカンドプッシュのところを意識していくと決めていたのですが、最初のヒットのところで同志社が受けに回ってしまったところが劣勢になった原因だと思います。
ーー前節で良かったラインアウトモールのDFですが
京産大戦よりはモールDFにフォーカスは置いていなかったので、そこで後手に回ってしまいました。相手がモールアタックに対するDFが良くないとわかっていたので、モールアタックにフォーカスを置いていました。
ーーそのモールアタックについて
ずらしの部分ではうまく相手の煽ってきた部分をずらせましたが、その後に判断ミスで千切れた部分があったので、そこを修正しないといけないです。あとはモールで通用しない時にどうやってBKに出すかというのも話し合って、こだわるところはこだわり、BKに出せる部分は出していきたいなと。
ーーFWのDF、対策や実際にやってみて
一人では倒せないところはしっかり2人、3人と人数かけて倒すことと、倒した後にリロードを早くしないとこっちが3枚かけているので、DFラインが減ってしまうというのは意識しようとやっていましたが、そこでどうしても疲れが出てリロードが早くなかったと思います。
ーー反則で流れを持っていかれましたか
いい流れの時にどうしても反則してしまったので・・・。京産大戦では10個ぐらい反則があって、今回は3つくらいに抑えようと話をしていた中で反則が何度もあったので、次の試合までに修正していこうと思います。
ーーこの点数の差をどう感じていますか
取れる場面はいくつかあったのですが、そこで取りきれないというのが今の実力だと思います。FWだったらモールを強化してもっと武器にしなければいけないですし、BKの展開の部分でもFWがしっかりポイントで勝つことでBKが活きてくると思うので、FWの役割として果たしていきたいと思います。
ーー次節まで2週間
雰囲気を落とさず盛り上げるのと、試合に出ているメンバーしかやり返せないので、その責任感を背負いながら戦っていきたいです。
副将・CTB永富晨太郎
ーー試合を振り返って一言お願いします
自分たちのプレーができませんでした。
ーーこの点差をどう受け止めますか
思っていた以上の強さを見せつけられたと思います。ただ、ここから切り替えていくしかないです。
ーー0封について
切り替えるしかないです。
ーー天理大には強力な選手も多かったと思います。その中で攻撃の作戦はありましたか
真ん中に当てて逆側を攻める狙いでした。天理さんのディフェンスがなかなか崩れず、理想のアタックができませんでした。
ーー試合途中での作戦変更はありましたか
空いてなかったので「順目に行こう」と声かけしましたが、なかなかうまくいきませんでした。
ーー前節でもミスが目立ち、今回もトライ目前でのミスがありましたが
ゴール前まで運んだら絶対に取り切るという気持ちじゃないと、ハイレベルな戦いでは今回のような結果になってしまいます。次に向けて改善していきます。
ーー次節までの2週間どのように過ごされますか
これまでのことは一旦置いておいて、切り替えてまたゼロからスタートしていきます。
LO堀部直壮(社3)
ーー前半でターンオーバーとかの場面もあってよかったが近場で攻められた際のモールのディフェンスについてはどうだったか
自分たちは相手のモールがまっすぐ押してくるのでまっすぐ押し返そうとしていたのですが、天理大学さんが回してくるようなサインを出してその策にはまったというか、そこを割られてトライされてしまったのでしっかり対応するべきかなと思いました。
ーー無得点について
結果はしょうがないですが、チャレンジしてきたので下を向かないで次に向けて頑張っていきたいと思います。
ーー関学戦に向けての改善と意気込み
今2戦落としていますが、そこはしっかり受け止めてこの2週間でしっかりいい準備ができれば次勝てると思います。この2週間の練習でどれだけ質を高めるかが重要だと思うので大事にしたいです。自分たちはBKとFWとが噛み合えば絶対勝てるので、自分たちのペースを作るところでまずはディフェンスが重要になってくるのでディフェンスをしっかり練習して頑張りたいと思います。
SH人羅奎太郎(社2)
ーー天理大に対してどういった対策をしていましたか。
強いプレーヤーの順目の周りをしっかり詰めて、裏でのプレーを意識していこうと思っていました。
ーーいい流れでの攻撃もありましたが、攻撃に詰まるシーンも多くありました。その中で、ボールの出しどころはどう考えていましたか。
ブレイクダウンに絡まれる部分が多くあったので、まずはキャリアをしっかり喋って、ロングリリースを意識しました。ブレイクダウンを超えるイメージを持って、自分はポイントに早く寄ってボールをさばこうとは思っていましたが、なかなかうまくいきませんでした。
ーーうまくいかなかった部分で攻撃のパターンはどう変えましたか。
キックを使ったり、表を詰められていたので裏を使ったりとしましたが、うまくできませんでした。なかなかゲインできませんでした。
ーーその理由はなんですか。
キャリアの姿勢は高かったり2枚目のサポートが遅れたりと、いつもと違う動きをしてしまっていました。それが原因かなと思います。
ーー全体の攻撃のテンポはどうでしたか。
悪かったですね。
ーー次戦に向けてひとことお願いします。
負けたことは仕方がないので、切り替えてここから全勝できるように頑張っていきます。
SO古城隼人
ーー今回の点差(無得点)について
最初の入りは良かったと思いますが、自分たちの時間でトライが出来ず相手に流れを持っていかれました。前半は良かったのですが、後半で相手のブレイクダウンの圧力に押されて攻撃が出来なかったのが敗因だと思います。
ーー天理戦を終えて個人の実感は
先週は自分の前が空いているシーンが多かったです。今週になって、相手の対策で前が封じられてしまった事で思うようにゲインが出来ませんでした。個人的にチームを勝たせられなかったので、SOとして責任を感じています。
ーーチーム全体として
通用する部分としない部分がありました。自分たちの強みが出せませんでした。
ーー同志社の強みとは
今年は、ボール繋ぎ・アタックでの攻め・前のめりなディフェンスと沢山強みがあります。今日は、アタックが良くありませんでした。
ーー天理のディフェンスの印象は
あがってくるディフェンスで、対策をして挑みましたが思う以上に相手に隙がありませんでした。そこで相手のテンポにのせられました。
ーー次戦への対策
もうこれ以上負けられないので、個人的にもチーム全体としても今試合で出た課題を修正して次に挑みたいです。