12月20日、近鉄花園ラグビー場で行われた大学選手権1回戦・関西学院大学戦。同志社は24-38(前半12-21)で敗れ、1回戦で姿を消した。1年間「国立」を目指して走り続けたが、関西王者・関西学院に2度目の敗北を喫し、とうとう届かなかった。
12月7日、東京で開かれた大学選手権の公開組み合わせ抽選会。スキッパーが引き当てた相手は、わずか2日前に関西リーグ最終節を戦い、そして敗れた王者だった。リベンジの舞台はすぐに訪れたのだ。その間、わずか2週間。「どこからでも攻める」意思の統一、新たなアタックオプション、ディフェンスの強化……。それでも、スキルやフィットネスなど、できる事、向上するものには限界がある。ならば、この試合で何を示すことができるのか。“Who are we?”に何と答えを出すのか。背番号10、SO橋野皓介の蹴り上げたキックオフのボールが、寒空の聖地に高く舞い上がった。

ファーストトライは鮮やかだった。前半1分、キックオフのボールをFW陣が猛然とチェイス。ラインアウトをクリーンキャッチ、何度かラックサイドでフェーズを重ねると右オープンにBK展開。両CTBをデコイにして、SO橋野が流れながらディフェンスのギャップを破ってゴール中央へ飛び込みトライ。開始早々の、用意したサインプレーでの意図通りのトライで、これまでとの「違い」を印象つけた同志社だったが、以後は関学の強力FWが徐々に勢いを増し始める。自陣に釘づけにされるようになり、何度もゴール前まで攻め込まれるも、懸命のディフェンスで粘る同志社。しかし7分、関学はラインアウトから抜け出したFL西川が大きくゲインしゴール前まで迫ると、ラックサイドをHO緑川がトライ(ゴール成功し7-7)。これでゲームは振り出しに戻ったが、両チームのブレイクダウンの攻防は激しさを増していく。劣勢だった同志社も、SH小森光太郎のテンポの良いさばきからリズムを作り、LO四至本侑城らが何度もボールを受けて前に出る。しかし、同志社のテンポが出始めたところに落とし穴は待っていた。26分、自陣で展開を図るも、関学FL西川が狙い澄ましたインターセプトから独走(7-14)。このトライを機にゲームの主導権は関学が握る。同志社は1vs1の局面で食い込まれ、倒れずに繋ぎ続ける関学の強さと巧さの前に自陣を抜け出せない。攻め込まれては橋野のキックで逃れるパターンは続く。37分には関学は同志社陣22m付近で展開。CTB田中がパスを受ける前に横に開いてディフェンスを“ずらす”プレーで前に出る同志社DFをかわして突破、そのままトライ(7-21)。少しでも点差を縮めたい同志社は、前半ラストプレーでWTB中村が左サイドをランブレイク。ラックから四至本が持ち出して再びラックにとなり右展開し、橋野の飛ばしパスを受けたFB野上喬平がタックルされながらも倒れこむようにインゴールへ(ゴール失敗)。12-21とし、勝負の後半に望みをつないだ。

逆転に望みを託せるか。どうしても先手を取りたい同志社だったが、そんなこちらの思惑をあざ笑うかのように、後半開始の笛と同時に朱紺のジャージーが襲いかかる。同志社が自陣でターンオーバーを許すと、関学はLO松川が強さを生かしてタックラーを弾き飛ばしながらインゴールへ。さらに8分にも再び松川が同志社のタックルを次々と弾き飛ばして連続トライを奪う。同志社は1vs1の局面でことごとく食い込まれゲインを切られる。攻めてもイージーなハンドリングエラーを繰り返すなど、精彩を欠いたプレーが続く。しかし、決意の背番号10が停滞したムードを一変させた。15分、自陣10m付近でパスを受けた橋野は、前が空いたと見るや、すかさず切れ込みラインブレイク。敵陣22m内まで入るとグラバーキックを転がす。それを拾うと、関学DF2人を跳ね飛ばしてゴール右隅にトライ。さらに難しい角度のコンバージョンも決めてしまう。2度の靭帯断裂から見事復活し、誰よりも強い想いでラストイヤーのピッチに立つ男。とても3年のブランクがあるとは思えない熱いプレーでチームを鼓舞する。この後のキックオフを四至本がキャッチすると、モールをドライブして50m近く前進。その後のプレーでも関学にミスが連続するなど、流れは完全に同志社に傾いたかに思われた。しかし、関学にも“流れを変えられる選手”がいた。23分、自慢のFWに勢いの戻ってきた関学は、FL西川が強さを生かしてこの日2つ目のトライ。19-38と安全圏に点差を広げる。このまま負ければシーズンが終わる同志社も、27分に途中出場のFL中田雄一郎がトライを返し、その後もボールを支配して攻め続けるが、関学の激しいタックルとブレイクダウンに苦戦。最後はインゴール目前で痛恨のノックオンを犯し、ノーサイドの笛は鳴り響いた。24-38。同じ相手に2度目の敗戦を喫す完敗で、2009年、村上組の戦いは終焉の時を迎えた。

シーズン最後のゲームも、どこか不完全燃焼感の残るものとなってしまった。流れが来たところでトライを取りきれない。特にこの試合ではノックオンが頻発し、準備したオプションを使い切るには至らなかった。個々の強さでも関学に圧倒され、踏み込みの甘いタックルは後半になればなるほど脆さを増した。攻撃でもSO橋野のひらめきに依るところが大きく、浅すぎるBKラインは、深さを保てずに決定機の逃してしまった。敗因を挙げればきりはないが、すべては彼らの1年間の努力の結実である。試合後、持てる力のすべてを出し切った橋野の表情は穏やかだった。「これ以上はできない。悔いはない」。まるで、そういう声まで聞こえてきそうだった。2009年は悔しさばかりを残して終わったシーズンだった。それでも、4回生たちにとっては最高に濃い日々だったことに変わりはない。そして、人生は続く。後輩たちにとっては、この日のノーサイドの笛は、新たな挑戦の日々の始まりを告げる笛である。そう、終わりは始まりなのだ。創部100年目を迎える来季、同志社は大学ラグビー界にその存在を、その価値を示す義務がある。目指す場所ははるかに遠く、険しいけれど、問われるのはグラウンドでの努力である。1年後、この場所で、15人全員がこの日の橋野のように持てる力の限りを尽くせることを、ひとえに願うばかりである。(後藤裕一朗)

▼試合結果
同志社24(4T2G)-38(6T5G)関西学院
▼スターティングメンバー
1PR張和裕(法2)/2HO木下博史(法3)/3PR才田修二(社3)/④LO村上丈祐(社4)/5LO四至本侑城(社3)/6FL大平純平(商3)/7FL廣佐古大典(法1)/8NO8浦田太陽(商4)/9SH小森光太郎(法3)/10SO橋野皓介(社4)/11WTB中村高大(経1)/12CTB森田洋介(商3)/13CTB小林大晃(商2)/14WTB大久保教全(社3)/15FB野上喬平(経3)
リザーブ:16日野剛志(商2) /17菅原崇聖(工4) /18前田俊介(社4) /19中田雄一郎(経3)/20下平凌也(スポ1)/21西田悠人(スポ2)/22正海智大(法2)
交代:後半9分 1張、13小林→17菅原、21西田 /16分 2木下、6大平→16日野、19中田 /24分 9小森→20下平 /33分 15野上→21正海
得点者:野上、中田、橋野皓(2T2G)