11月19日、鶴見緑地球技場(大阪府)にて行われたムロオ関西大学ラグビーAリーグ第6節対近大。同志社はFW・BK共にハードワークが目立ち、近大を圧倒。41-19で勝利し、リーグ戦通算成績を3勝3敗とした。
負ければ入れ替え戦の危機、勝てば大学選手権出場へ望みがつながる大一番だった。前節、京産大に大差で敗北した同志社だったが、その敗戦を引きずることなく近大に挑んでいった。統率されたディフェンスラインが近大アタックを封じ込めた。
開始早々はピンチを背負う。前半2分、ラックサイドを突破され、自陣ゴール前付近までゲインされた。なんとかグラウンディングは阻止するも、なかなか陣地を取り戻せなかった。今年の同志社は自陣前でのディフェンスで苦しんできた。先制点を奪われる雰囲気が会場には漂っていた。
しかしその不安を一掃したのは両CTBの髙井(スポ4)と阿部亮(心理4)だった。前に出るディフェンスでダブルタックル。近大のペナルティを誘い、ピンチを脱出した。「先週は京産大に体を張れていなかった。そういう面で課題のディフェンスの部分を1週間やってきて、今日はその成果が全面に出た試合だったと思う」と阿部は振り返った。

髙井の突破

何度も強引突破を見せた阿部
ディフェンスから流れを作った。王者・天理大に唯一2トライ以上を奪った近大のアタックを速いリロードで防いだ。

ダブルタックルで近大を止める
ようやくチャンスは訪れた。前半12分、髙井の突破から近大陣に入ると10フェーズを重ね、最後はFB光部(社4)がステップで相手をかわし、先制トライ。コンバージョンキックも自らの足で決めた。
さらに今日の同志社は勝利にこだわりを見せた。同15分、近大陣内22mライン付近でPGを選択。同志社が今季PGを選択したのは第6節にして初めての事だった。「接戦になることは分かっていた」と、野中主将(スポ4)は意図を語った。
光部が確実に決め、10点差をつける。その後も2本のトライを奪い、スコアを22-0まで広げた。
前半終了間際に2本のトライを返されるが、後半に切り替えた。後半4分、スクラムから展開し、この日ケガから復帰したWTB安田(商3)にボールが回った。スペースへ走り込み、大きくゲイン。近大のオフサイドを誘発した。前半にはトライも決めており、ブランクを感じさせなかった。エースの意地を見せた。「これから調子はどんどん上がっていくと思う」(安田)。

スペースへ走り込む安田
ラインアウトモールで追加点を奪うと、勢いは止まらない。同16分にはWTB高野(社3)がタックルを受けながらも這いつくばり、トライ。勝利への貪欲さを見せた。高野はこれで第4節摂南大戦から3戦連発だった。

高野のトライシーン
前半で3本、後半で3本。同じく攻撃力を発揮した立命大戦とは違い、失点も20以下に抑えて勝利した。
この日マンオブザマッチに選ばれたHO平川(法3)はグラウンドを縦横無尽に駆け回った。豊富な運動量で攻守にわたり躍動。安田のトライを演出したのも平川のロングパスだった。さらに後半16分、LO服部(スポ2)のブレイクから平川がピックゴーで持ち出し、ゴール前まで進んだ。そのゲインが阿部のトライにもつながった。

ボールキャリーする平川

攻撃の起点となって躍動した
今季リーグ戦では安定して運動量の多さが目立つ平川。スクラム・ラインアウト・フィールディング共に紺グレを支えている。
なんとか最終節天理大戦へ望みをつなげた。同志社が天理大に勝ち、立命大対関学大で立命大が勝利すれば、同志社は3位で大学選手権出場が決まる。まずは11月25日、勝利が絶対条件だ。失点を覚悟でも、自分たちのラグビーを体現したい。
「良いチームになってきた実感がある」。萩井監督、野中主将共に同じことを語った。今こそスローガン「BOND」を真価が問われる。
最後に紺グレが西京極で奇跡を起こす。(只松 憲)
○コメント
萩井監督
FWで優位に立てた――。
FWで優位に立てたかどうかは分からないが、ラインアウトのディフェンスの部分に関しては、今日出ていないメンバーの4年生がしっかりと対策をしてくれた。準備が非常に良かった。分析メンバーを含め、自分たちの試合があるのにシミュレーションをしてくれた仲間のおかげ。
ディフェンスに関して――。
やはりまだセッティングが遅くてやられている部分がある。そこに関しては残りの時間で改めて整備しなければいけない。
中村海輝先発の意図――。
田中翔か中村海輝で迷ったんですが、最近海輝の調子が良くて、翔は少しケガの影響もあり、ベストな状態ではないと判断した。
安田先発の意図――。
FBは光部がずっとしてくれていて、キックの面も含めてチームの中心になってやってくれていた。安田はケガからの復帰だったので、まずは昨年もやっていたWTBで。鶴田は少し体調を崩していたので休ませたいという事もあった。
天理大戦に向けて――。
技術的にはディフェンスのところもそうですし、全体的に相手が上手かもしれない。ここまで来たので、だれがとうというよりチーム全員がどこを向いているかの方が重要。18日の立命大戦はBチーム・Cチーム・Dチームも全勝して今日もAチームに良い結果が出た。やっと最後の最後で良いチームになってきた。最後にチーム一つになってやっていきたい。
野中翔平
ディフェンスに関して――。
ボールを動かしていくし、リスクはあるからそのリスクをどこで解消するか。リスクを背負ってでもみんなで攻めようと決めた。どこで解消するかの部分で、最初の10分、終わりの10分。ここの20分でしっかり守れれば自分たちのアタックはできる。練習もディフェンスに関してやってきた。そういう面では練習の成果がでた。
前半最初のPG選択――。
ちょっとだけ差は開いたけど、もっと競ると思っていたし、近大は良いチーム。1点差でもいいから勝とうと言っていたのがあの選択に至った。
試合中の雰囲気――。
今までは声掛けしてもリアクションがなかったりしたけれど、練習中から自分以外の人が声を出してくれたり、リアクションをしてくれるようになったりしてくれて、それがそのまま試合でもいい空気になった。まだまだやらないといけないこともあるし、キャプテンとして自分もやることはあるけれど、いいチームになってきたという実感はある。
天理戦に向けて――。
個人的には全勝対決で臨みたかったけれど、終わってしまったことは仕方がない。春に天理に負けてから絶対天理に勝つということを目標にしてきたでの、挑戦者の気持ちは変わらず、1点差でもいいから勝って、選手権に望みをつなげたい。
阿部亮介
試合を振り返って―― 。
先週、京産大に体を張れていなかった。そういう面で課題のディフェンスの部分を1週間でやってきて、今日はその成果が全面に出た試合だったと思う。
DFラインの突破について――。
1から8番のFWが前で体を張ってくれたから、自分の前が開いてそのままトライができたと思う。
天理戦に向けて――。
18日のジュニア戦、C・D戦で勝って、今日も勝つことができて、また勝ちにこだわってできる1週間。また体を張って、170人で全国大会に出れるように頑張っていきたい。
安田卓平
試合を振り返って――。
前半は今シーズンずっと入りが悪く、練習から入りを良くしようとしていた。全員が体を張ってしっかり自分たちのやってきたラグビーが前半の初めはできた。少し押された部分もあったが、全員が守りきったので前半は良かったと思う。後半は入りも良かったが、全員で自分たちのラグビーができたのが良かった。
WTBとしてのスタメン復帰――。
去年ずっとWTBでしたし、大学入ってからも1、2年はWTBをやっていたのでそこまで違和感はなかった。しかし久々というのもあって少し緊張した。
ディフェンスについて――。
まだまだ抜かれている部分がたくさんあってそこはまだダメなところだが、全員がしっかり走っていたところは良かったと思う。
調子は――。
今日久々にスタメンで出て、これから調子はどんどん上がっていくと思う。まだ自分の中で100%のプレーができてないので、しっかりと準備して良い状態で天理戦に向けるよう頑張っていく。
15人制では公式戦今年初トライ――。
そんなに自分はトライにこだわっているわけではないが、トライという形でチームの勝利に貢献できたのでそれは良かったと思う。
天理戦に向けて――。
とりあえず天理に勝つしかない。この1週間全員が良い準備して、今のままではまだ勝ってないと思う。もう一回1週間でしっかりレベルアップして、また強い同志社を作り上げていって天理に勝てたらいい。
光部修平
今日の試合を振り返って――。
前半からいい雰囲気で試合に臨んで、点を重ねられたのでいい試合だったと思う。
自身の突破については――。
ウィングの選手がマークされるのはわかっていたので、自分が縦にボール運んでいけたらと試合に臨んでいた。
自身のキックについて――。
風が強くて蹴り辛く、滑ってしまったところもあったが、全体的には良かった。
次節以降の課題は――。
いい流れに乗っている時に、気引き締めてやりたい。気を緩めると自分たちのテンポでは無くなっていくので、気を引き締めたまま苦しい時間も我慢していきたい。
服部綾
セットプレーについて――。
ディフェンスは相手のラインアウトをしっかり分析できていて、分析したところでチェイスできてマイボールにできた。これはBチームや分析してくれたスタッフのおかげ。アタックは、僕たちはコアな部分からしっかりやってきたのでそれが今日は目立ったと思う。スクラムは、最初はまとまりが弱かったが後半行くにつれてまとまれていたのでよかった。
前半の失点、ディフェンス振り返り――。
前半は前に出れていたがチェイスできていなくて食い込まれている部分が結構目立った、相手のアタックをテンポよく出させてしまったのが前半の最後のトライだと思う。それを天理戦は前に出て止めれるようにしたい。