10月28日に宝ヶ池球技場(京都府)にて行われた、ムロオ関西大学ラグビーAリーグ第5節対摂南大。同志社は摂南大のアタックを、低く刺さるタックルで止め、攻撃ではフィニッシャーが確実に点を取りきり、47-14で勝利した。リーグ戦通算成績を2勝2敗とし、大学選手権出場へ望みをつなげた。
雨の降りしきる中、試合は始まった。両チームまずは主にFWにボールを集め、エリアとポゼッションで上回る事に徹した。
開始3分、SO永富(商3)が相手のディフェンスラインの裏スペースにキックを放ち、そのボールをWTB鶴田(法4)とCTB髙井(スポ4)が追った。ボールは不規則にはねるも、人数的に上回っていたこともあり、髙井がインゴール手前でキャッチしてそのままトライ。先制点を奪った。FB光部(社4)も角度のあるコンバージョンゴールを沈め、7点を先取した。

髙井のトライ
その後は外国人留学生にボールを集め、攻めてくる摂南大に対し、しっかりと相手を倒すタックルでゲインを許さなかった。
「摂南大学さんはジュニアリーグの時、タックルされても完全に倒さないとその後ボールを持ってこられることが多かったので技術的には倒しきるところにこだわった」(萩井監督)。同10分には鶴田の大きなゲインを起点に逆サイドへ展開し、髙井が2本目のトライを決めると23分には再び鶴田が一人で相手を振り切り3トライ目。35分には、10mラインでボールを受けた永富がハンドオフで振り切り、インゴールへと走った。前半で4トライ3ゴールを奪い、無失点でいきたいところだったが、終了間際にひとつ外国人留学生に突破され、失点。前半を26-7で折り返した。
後半に入ると直後はポゼッションでは摂南大が上回っていたが、同志社のディフェンスは粘り強かった。この日Aリーグに復帰したLO服部(スポ2)や途中出場No.8倉本(商4)が持ち味のタックルで相手を止めきる。後半6分にはギャップを突かれ、トライを許すも、CTB2人留学生で固めた摂南大アタックを封じた。

摂南大のアタックを止める同志社

簡単に突破を許さなかった
FW陣が前で身体を張り、BK陣が得点を取る。ラグビーの基本を忠実に再現した試合内容だった。なかでもHO平川(法3)や主将・野中(スポ4)、FL丸山(商4)とCTB阿部亮(心理4)の副将コンビのハードワークが目立った。平川は後半9分にもトライを決めており、確実にゲインできる機動力のあるHOだ。
新戦力の台頭もある。この日Aリーグに初出場を飾ったWTB江金(経2)が見せた。後半25分、ラックから永富、髙井にボールが渡り、相手を引き付けて江金がボールを受けた。初のボールタッチでそのまま摂南大選手を3人をスピードで振り切り、トライ。「もらって前あいてて、走ったらトライ取れるもんやったんで取りきろうと思って。嬉しかった。」。ジュニアリーグで結果を残して出場機会を得た江金に大きな歓声が沸いた。

初出場でトライを決めた江金
マンオブザマッチには何度もトライへの決め手となるパスを放ち、自身も1トライを記録したSO永富が選ばれた。

MOMに輝いた永富
結果的に危なげなく試合を終えたが、鬼門はここからだ。京産大・近大・天理大と上位対決が残っている。大学選手権出場のためには少なくとも3試合のうち2勝はしなくては望みはない「雰囲気は作れるものやと思うから良い雰囲気で一週間送って自分たちのラグビーできれば勝てる」と野中は意気込みを語る。まずは京産大、全勝中の強豪相手にまずはひとつ、泥をつけたいところだ。(只松 憲)
○コメント
萩井監督
今日の試合を振り返って――。
しっかりとタックルで相手を倒しきるところをやった。摂南大学さんはジュニアリーグの時、タックルされても完全に倒さないとその後ボールを持ってこられることが多かったので技術的には倒しきるところにこだわった。4回生中心に気持ちの面でしっかりやっていこうという想いがあってメンバーは身体を張ってくれた。
次戦に向けて――。
本当は全勝対決が出来たら良かったですけど、過去は過去で置いておいて、京産大はある意味昔から因縁のあるチーム。どちらの意地が勝つか、どちらがより強みを出せるかで結果が出ると思うのでしっかり準備していきたい。
野中翔平
ディフェンス面に関して――。
良いセットが出来てた時は良いディフェンスが出来ていたけど、その前のブレイクダウンやボールキャリーのところで相手に食い込まれたりしたら
順目に枚数が足りなくなったりして後手に回ってしまう事があった。一個受けてしまっても早くアップして、セットスピードを変えるっていうのが
出来ていなかった。しっかりセットできれば、前に出る圧力もあるし、個々のタックル力もあるので良いディフェンスはできる。
FWを振り返って――。
ラインアウトは良かったけど、モール、スクラムはまだまだ。前半からスクラムで押し切ってペナルティー取ってラインアウトモールでトライっていうビジョンを描いていた。それとはちょっとほど遠かった。
チーム内での雰囲気は――。
悪かった時もあったけど、負けてから良くなってきているからそこは4回生中心に雰囲気づくりをする。雰囲気は作れるものやと思うから良い雰囲気で一週間送って自分たちのラグビーができれば間違いなく勝てる。
永富晨太郎
天気の影響は――。
このくらい(小雨)なら今日みたいにBKに振れるので次の試合も外に振って、BKで勝負できるように頑張りたい。
関大戦から雰囲気はどんな感じか――。
練習から良い雰囲気ではやれている。だけど試合中きつくなった時に落ちる時があるので、80分間継続してやれればもっといい試合ができる。もっと
声掛けあっていきたい。
SOとしての出場――。
最初にボールをもらえて自分でゲームを作れるので、しっかり裏見たり余ってたら外見たりの意識を持ちながらやれているので、そんなに苦ではない。試合を重ねるごとに、視野は広がってきた。陣地を取ることが大事。
課題は――。
チームとしては、ディフェンスをもっと良くしたら強いチームにも対応できると思う。一つの事にこだわりすぎずに視野を広げてやっていかなければいけない。個人としてはFWとBK両方生かせるようにやっていきたい。
MOMを取っての感想――。
今日はしっかりエリア捕れたし、外に振れたので素直にうれしいですけど、次もあるのでしっかり調整して頑張りたい。
髙井勇貴
先週と同じ雨の試合で何を意識したか――。
先週は自分たちのミスで自滅したところが多かった。今回はミスを少なくして、チームに流れを引き込もうと考えていた。
突破役として毎試合活躍しているが、好調の要因は――。
僕は元気が取り柄だと思っているので、流れを変えられるのは僕だけかなという思いを持って、取り組んでいる。
パワーで押しきる相手にどういうディフェンスを心がけたか――。
チームで流れはディフェンスから作ろうと決めていたので、それがしっかりはまって、ターンオーバーもあって、そこからいいアタックに繋げられたのが良かった。
現在2勝2敗。4年生として、現在の状況をどう捉えているか――。
もう後がなくて、次負ければ終わりという試合が続く。そこから流れを変えられるのは4回生からだと思うので、後輩たちにいい伝統を残すためにも、これからの試合を一生懸命体を張って、4回生からやっていきたい。
京産戦への意気込み――。
前評判が高いチームで、強いと思うが、勝つのは当たり前でないといけない。自分たちのラグビーを体現しながら、自分たちのラグビーを楽しくやって勝てるように頑張りたい。
倉本吏哉
突然の交代だった――。
僕自身が求められていることがインパクトプレーということでリザーブに入っているので、そこを意識した。持ち味がタックルなので、ボールを持ってゲインしようということも意識した。
試合の振り返り――。
個人としてはタックルの部分で少し受けてしまったので、次節の京産大までに意識して改善したいなと思う。
ディフェンス面で気を付けていたこと――。
相手の留学生を止めるという事と同志社のフォーカスとしてディフェンスから入ろうとしていたのでそこは意識していた。
服部綾
Aチーム復帰戦――。
一からのスタートだと思って、自分のできること、コンタクトを生かしたプレーでチームに貢献しようと臨んだ。今回ディフェンスが多くあった。自分はディフェンスがそんなに得意ではないので、前にしっかりとあがって抜かれないことを意識した。アタック面では、しっかりとボールキャリーできたと思う。
スクラムなどの手応え――。
前半はひとりひとりがバラバラでやってしまっている感じだったが、後半からは全員でまとめて押せた。ファーストスクラムからまとめて押すっていうのが今の課題。
摂南に対するディフェンス――。
まともに当たるより、半身ずらした。テンポを上げて、クイックで出してバックスにつないだ。バックスがやりやすいようにボールを出すのがフォアードの仕事なので。前半でタイトな時間が続いたところは、相手のハーフからのフォアードに付き合いすぎてしまった。そこをもっと押し上げてタックルで返せたらもっと良い内容でできた。
今後について――。
厳しい戦いが続くと思うが、アグレッシブにいきたい。
江金駿
Aリーグ初出場について――。
出場したらアピールしようと思った。WTBで出たのでトライ取ることを目標に挑んだ。
初トライの心境は――。
もらって前あいてて、走ったらトライ取れるもんやったんで取りきろうと思って。嬉しかった。
Jr.リーグでの活躍がAリーグの出場につながった――。
Jr戦でいろんなポジションやらせてもらって今日はWTBだったけど、CTBとかFBとかもやらせてもらった。それでプレーの幅というのが広がった。
次回メンバーに選ばれた時は――。
もっと出場時間を増やして、スタートから出てる先輩に並べるように。スタメン取れるように頑張っていきたい。
山田公佑 (神4)
雨の予報の中、どういうプランで試合された――。
最初雨降ることは予報で聞いてたんで、自陣はキックで敵陣に入ってからはどんどん自分らのラグビーである展開するラグビーをやっていこうという話しをしてました。
やりづらさは――。
雨に特に苦手意識はないです。雨でも裁けるのは裁けるので、他の人達はやりづらい部分あると思うんですけど、自分はないです。
今日も安定したパスでていた――。
僕はパスの時は何も考えてないですね。夏合宿でもしっかり投げ込んできたので、無心で投げれるのがいいことだと思うので、変にいいパス投げようだったりミスったらどうしようって考えてしまうとそれに考えがいっちゃってゲームのことを考えられなくなるので、僕は結構無心で投げてます。
永富さんとの連携プレー――。
あいつはクラブチームが一緒で、もう小学生ぐらいから一緒にやってるんで、話し合うというよりはだいたい分かります。
今後どういう風に存在感みせたいか――。
自分の持ち味の安定したパスやったりテンポあげるトライだと思うので、自分がチームに求められているのはそういうところだと思うので、持ち味を生かしてチームに貢献出来たらなと思います。