9月30日、宝ヶ池球技場(京都府)にて行われた関西大学ラグビーAリーグ第1節対関学大。同志社は前半を14-0で折り返すが、後半に関学大の猛追を受け、逆転を許す。ラストワンプレーで敵陣深くへ攻め込んだが、最後は落球して試合終了。まさかの開幕戦黒星スタートとなった。

試合前の円陣
雄たけびをあげる朱紺をただ見つめる事しかできなかった。ノーサイドの瞬間、宝ヶ池の地に響いた歓声は関学大のものだった。
前半は鍛えてきたFW戦にこだわった。ラックからBK陣にに展開せずにピックアンドゴーでインゴールに迫った。関学大も低いタックルで同志社のアタックを防いだ。両者拮抗した時間が続き、気がつけば30分が経過。スコアは0ー0。

互角に組み合ったスクラム
「いい球をスタンドオフに送ることを意識した」とSH人羅(社1)。互角なスクラムだからこそ球出しを意識した。ようやく試合が動いたのは前半34分、主将・FL野中(スポ4)がラインブレイクし、サイドへ展開。CTB阿部亮(心理4)が再びインゴール手前まで迫り、最後は人羅がトライ。先制に成功した。

阿部亮の突破
「特に前半最後に、PG(ペナルティーゴール)ではなく、ラインアウトを選択したのは今振り返っても強気な気持ちだった」と、野中は語る。
前半、もう7点を追加し、14-0で試合を折り返した。

FW戦で追加点を奪った
しかし後半は同じチーム同士とは思えないほどの展開だった。一転して同志社が防戦一方に。「エリアは脱出したかったけど、思ったより風が強くて、ポゼッションで上回りながら…と思っていた。だけど中盤でボールを手放してしまった」(野中)。後半開始早々にあっけなく7点を返され、その後は終始同志社陣内。互角に組んでいたスクラムも押され始めた。
「相手が組み方を変えてきた時に少し対応が遅れたのと、自分たちが入りでかったときにチェイスしたんですけど、その時に少し落としてきたのに対応が出来ず、自分たちも一緒に落ちてしまったもったいないスクラムが何本もあった」とPR土田(商4)は語った。
後半13分、マイボールスクラムを関学大にプッシュされ、ペナルティーを取られた。敵陣深くまで攻め込まれ、約20フェーズ耐えた。しかしディフェンスも虚しく外に放られて被トライ。同点に追いつかれ、反撃したいところだったが、後半30分、またしてもゴール前のFW戦で耐え切れずに逆転を許した。
同37分、HO山﨑が関学大タックルを外し、ビックゲイン。オフロードパスを受けたCTB髙井がさらに突破し、インゴールに迫るも、惜しくもつかまった。「あれだけ大きくゲインしても結局やっぱりトライが取れなかった。トライ取れるまでしないと、自分の働きは無駄だったのかという気がする」と髙井。しかしエリアを獲得した同志社は一気に関学大陣内へ攻め込んだ。

髙井のビックゲインは惜しくも相手に追いつかれる
アドバンテージをうまく使い、様々な攻め方で押し込んでいくが、関学大のディフェンスは堅かった。5分もの間、相手ゴール前で攻め続けた。スタンドが息をのんで見守る。「決めてくれ」。
ロスタイムが経過した、83分04秒。FL嶋崎がノックオン。ノーサイドの笛は吹かれた。朱紺は笑顔。紺グレは俯いた。
「非常に悔しい。関学大はすごくいい準備をしてこられていたと思う。前半は想定通り。後半は入りで再起に点を取られて、相手が回してきたところに関して受けてしまった。前半と違うテンポでこられたので対応しきれなかった」と萩井監督は振り返った。

最後のワンプレーはノックオン

ノーサイドの瞬間、歓喜に沸く関学大とうつむく同志社
まさかの開幕戦敗北。宝ヶ池に訪れた全紺グレファンが沈黙した。「ミスをなくして大事なプレーの前にマインドチェンジをする」(野中)。大学選手権出場のためにはもう負けることが許されなくなった。同志社ラグビーは苦境の時を迎えている。
次節の立命大戦も再び宝ヶ池で行われる。悪夢を見たこの地の記憶を払拭できるのは勝利のみだ。次こそは本当の同志社ラグビーが見たい。そう願うばかりだ。(只松 憲)
○コメント○
萩井監督
感想はー。
率直には非常に悔しい。関学大は非常にいい準備をしてこられたと思う。
勝負の分かれ目はー。
前半は想定通り。後半は入りで先に点を取られて、相手が回してきたところに関して受けてしまった。前半と違うテンポでこられたので対応しきれなかった。
選手はよく頑張ってくれた。我々指導者、特に私の責任だと思っている。
FWに関してー。
ちょっと後半かみ合わなかった部分があったが、良くはなってると思う。
野中翔平
今日の試合を振り返って―。
流れの部分でここスクラム出せたらトライ取れるとか、ラインアウト取れたトライ取れるとか、2対1の場面できちんと放れたらいいとか全部
そういう場面でミスしてしまった。流れを引き寄せるっていうプレーができなくて、局面局面で相手に流れを渡してしまった。
ラインアウトは競っていたし、スクラムは自力で負けたという感触はなくて、押すか引くかの駆け引きの部分で対応しきれなかった。それは今後試合を
やっていく中で成長できる部分だと思う。スクラムで負けたといってしまえばそうだが、今日の試合は、流れを引き寄せられなった部分が大きい。
自分たちには選択肢があったのに、できなかった。
後半の関学大のアタックへの対応はー。
エリアは脱出したかったけど、思ったより風が強くて、ポゼッションで上回りながら…と思っていた。春から継続してた「アタックの継続」をやろうと。
だけど中盤でボールを手放してしまって、中盤から相手のハイパント使われて、(関学大の)ディフェンスが入ってきて時間を使われた。
立命大戦に向けてー。
立命は夏合宿でスクラムは6:4くらいで負けていた、だけどあの日からの継続はあるし、そこで勝負というよりは、テンポやスピードで仕掛けたいと思ってるから
それをしっかりできるように。まずは流れをしっかり引き寄せられるように、ミスをなくして大事なプレーの前にマインドチェンジをすること。メンタル面。
一週間は自分たちでどうするか考えて、もう一週間は立命に向けて準備する。
FW戦にこだわった印象があるー。
前半最後のプレーはショットを狙えたけど狙わなかったのは、相手が競ってこないと分かってて、モール組んだらとれると思ってた。そういう意味では
強気な選択をした。後半は一発目PGを狙えたけれど、敵陣に入る事が優先かなと思った。
PR土田敬太
実際にスクラムを組んだ手ごたえ―。
自信はあったんで押すことはできたし、手応え自体はあった。
けど、後半に入ってから相手が組み方を変えてきたりした時に少し対応が遅れたのと、
自分たちが入りでかったときにチェイスしたんですけど、その時に少し落としてきたのに対応が出来ず、
自分たちも一緒に落ちてしまったもったいないスクラムが何本もあったし、
そこで相手がどういう風な対策をしてきても自分たちのスクラム、強いスクラムを組みきることが本当の強さだと思うので、そこが出来なかったのが悔しい部分かなと思った。
後半の勢いが変わった要因は―。
スクラムで少し受けに回ったことと、ずっと自陣ばかりでやっていたのでそこで相手の陣地を取れなかったということと、
コンタクトの部分でうけてしまったかなというところがある。後半の入りというのを大切にしていて、入りから敵陣に敵陣に戦おうと今回の試合をやっていたので、
それが出来なかったことが流れが変わった要因だと思う。
1.2番のメンバー交代で変わった部分は―。
いつもは最初のスタートの3人と後半の3人でスクラムをまわしていて、僕が残るパターンは結構珍しいですけど、
そんな中でも相手がどうであったりとかをコミュニケーション取って、後半変わってから一発目のスクラムは押すことが出来たので
そこのコミュニケーションの部分はよかったかなと思った。
次戦に向けて―。
次の試合の立命館大学は春でもそうだったけどスクラムが強いってイメージは自分でもありますし、実際合宿で組んでみて強かったし、
スクラムが強い相手に対して自分たちのスクラムは対等、もしくはそれ以上に組めたら本当に強くなっているという証拠だと思う。
特に春でやられている相手なのでそこで押し返すことが出来れば成長していることが証明される。
自分は特にセットプレーが仕事だと思っているのでそこに力をいれてあと2週間、しっかり準備していきたい。
CTB永富晨太郎(商3)
個人として試合を振り返ってー。
前半は縦でやって全員でやって、エリアも取れてたんで良かったと思うけど、後半何もできなかったから、前半と同じようにプレーできたらいいと思う。
FWがプレーをしている中で、BKはどんな心構えでボールを待っていたかー。
外開いたら呼ぶっていう形でやっていたけど。結構呼んだがボールが回ってこなかったから、次からもっと呼んでもっと簡単にトライできるようにしたい。
今日の負けをどう捉えているかー。
あまり気にしないで次の準備をしっかりして、全勝できるように準備を大切にして頑張りたい。
関学のタックル(ディフェンス)についてー。
結構前に出てきてたけど、継続できたらトライできるからミスを少なくしていく。
CTB髙井勇貴
残り約20分での途中出場―。
自分でいうのもなんだが、流れを変える力はある。チームが悪い雰囲気だったり、なかなかいい形にできないところを自分が出ることで変えられたらと臨んだ。
心掛けたことは―。
なかなか前に進めてなかったので、(チームが)前に出るきっかけになったり、自分で前に出ることを心掛けた。
大きな突破が1度あった―。
あれだけ大きくゲインしても結局やっぱりトライが取れなかった。トライ取れるまでしないと、自分の働きは無駄だったのかという気がする。負けて反省できることは、良くないとは思うが、修正できればと思う。
次戦への意気込み―。
優勝を狙っている立場なので、もう負けることは許されないし、1試合も落とせない。チームみんなで勝つために、それぞれどういう風にすれば良いか残りの時間で考えていけたら良いと思う。
SH人羅奎太郎
試合を終えた感想ー。
試合前には、試合を自分で動かそうと思っていた。いざ試合が始まると思うようなプレーができなかった。前半は行き詰まったが、前半のうちに修正できたのは良かった。後半は入りから相手にペースを掴まれ思うようにプレーできなかった。
どんなことを意識して球出しをしたかー。
スクラムは五分五分でボールをクリーンに出すのは無理だと思ったので、いい球をスタンドに送ることを意識した。それがいい攻撃のリズムを作るため、いい球出しを心がけた。
ハイパントの調子はー。
ハイパントの調子は良かった。裏のスペースに転がすキックでは、今日はミスが多く崩れた部分もあった。
後半、流れが変わった原因はー。
後半のはじめ、エリアを意識してプレーしようと言っていた。キックを多用したが風下で相手のキックが伸び、キックのエリアで負けることが多かった。攻めながらのコーナーや継続して攻めるということを修正できたら良かったが、それができず相手のキックに付き合い自陣でやられるという流れが1番の原因だと思う。
残りのリーグ戦への意気込みー。
今日学んだこともあるが、1試合1試合見つけた課題を修正し次に生かしていきたい。