5月17日にパロマ瑞穂ラグビー場(愛知県)にて行われた愛知県ラグビー祭、対早稲田戦。今シーズン初の関東の大学との試合に臨んだ同志社。強力なブレイクダウン、セットプレーで早稲田を圧倒し60-24の快勝。早稲田に勝つのは実に15年ぶり。同志社の勝利に会場も大きな盛り上がりをみせた。

伝統校同士の戦いとなった
昨年、選手権では接戦に持ち込むも17-18で敗北。ここ一番でみせる名門・早稲田の勝負強さを見せつけられた。この1点差につまった確かな強豪との違い。「春の目標をここ(早稲田戦)にしていた」(FL末永)と春シーズン、この差を埋めるべく徹底的に追い込んできた。
随所に同志社の良さが出た試合だった。先に流れをつかんだのは紺グレ。前半13分、敵陣インゴール手前でスクラムを獲得すると、じりじりとゲインする。最後はNo.8高田が飛び込みトライ(5-0)。続く前半20分にも再びスクラムからNo.8高田がピックアンドゴーでインゴールへ(10-0)。スクラムを起点に2トライを決める。

スクラムで早稲田を圧倒
統制のとれたディフェンスラインをみせていたが一瞬のスキを突かれる。前半30分、トライ後のキックオフをうまく処理できず早稲田にスクラムを献上すると、外に展開されあっさり被トライ(17-14)。失点し相手を突き放すことができない。その後も両者トライ、PGで得点を重ね24-17の同志社リードで試合を折り返す。

何度もラインブレイクし好機を演出した末永
後半の同志社の戦いぶりは圧巻だった。後半開始早々、同点に追いつかれたものの落ち着いた試合運びをみせる。強力なブレイクダウン、セットプレーで何度もターンオーバーを演出。コンタクトの強さを見せ簡単には倒れない。FWの粘り強いディフェンスで相手にミス、ペナルティを誘発し、チャンスを作らせない。終始同志社ペースで試合が進むなか迎えた後半9分、敵陣中央でポイントを作ると、SH岩村、FL末永の細かいパスから大外へ展開し、最後はFB﨑口が突破しトライ(29-24)。そして後半12分にはFL末永のラインブレイクからSO渡邉が突破し最後はWTB木村がグラウンディング(36-24)。これを皮切りに怒涛の4トライを取り60-24で試合終了。

安定したラインアウトをみせた同志社
この一戦で光ったブレイクダウン、セットプレーの強さは春の取り組みの賜物に違いない。しかし、同志社があげた10トライのうちコンバージョンキックの成功は5本に留まるなどゴールキックの成功率に課題がみえた。また、「一番の課題はタックル」(山神監督)と個々人のタックル精度にも改善の余地を見出す。
15年ぶり――。早稲田からの久しい勝ち星。しかし「早稲田に勝つことが目標ではない」(吉澤)と、そこに慢心はない。目指すのは日本一。勝った時こそ収穫と課題を見つめ一歩一歩前進していきたい。(杉本 大)

味方選手を祝福する大越

15年ぶりに早稲田を下した
☆コメント☆
山神監督
試合前はフィジカル面で負けない、ブレイクダウンでは2、3人でボール出しを完結させていこうと話した。早稲田のアタックがシンプルでそこに上手く適応できたことと、カバーディフェンスのところでFWが頑張ってくれた。キックオフからのミスが多かったが、ブレイクダウンでは制圧できていたし、ターンオーバーがこれほどできるとは思わなかった。攻撃時間が長かったのがこの点差に繋がったのでは。課題を1つ挙げるとすればタックル。タックルが決めきれていないし、タックルの精度、タックルまでの準備の仕方も考えていかないと。
PR 才田 智
良い所もあったが悪い所もあった。春のターゲットにしていた試合だったので何より勝ててよかった。セットプレーではかなり優位に立つことができたし、ブレイクダウンでもタ-ンオーバーできたし去年よりはできているかな。トライ後のキックオフからの2本取られている。こうしたことにもしっかり取り組んでいかないと。この勝利は自信に繋がると思うが、明日から次(立命館戦)に向けて切り替えてやっていこうと思う。
PR 海士 広大
今日は目標にしていた試合だったので、絶対勝とうとみんなが1つになって勝てたのでよかった。体を大きくして関東に負けない当たりをして関東に勝つというのが目標だったので、それができた。接点で圧倒し、スクラムでもキャプテンを中心にプレッシャーをかけることができた。ディフェンスでは前に出て一発では抜かれないといくことができていたので、それをもっと強化していきたい。
HO 東 大樹
去年選手権で1点差で負けた相手だったので、チームで勝ちにいくことを意識していた。実際勝てて良かった。春フィジカルを強化し、関東にも力負けすることなく出来ていた。関西しかしていなくて関東は今回が初。手応えを掴んだ。ブレイクダウンは春から強化してきて、通用することが分かった。
LO 山田 有樹
勝てたのが何より良かった。春からブレイクダウンを意識してやってきて、今日はそれが通用して良かった。スクラム、セットプレーも充分やれると思った。(キックオフ後のミスが多かったことについて)コミュニケーションが甘かったのが課題。春、とにかく全勝したい
LO 森山 雄
昨年1点差で負けてから、春は早稲田戦にフォーカスして練習しようと決めていた。コンタクトの部分では互角か、それ以上でやれた。ブレイクダウンではいくところと、いかないところを見極めて出来たのでヤンボールターンオーバーに繋がった。細かいところでミスをしたので、更に強いところとやるとやられる。とりきりたい。
FL 野中 翔平
点差は開いたが、反省する点は多い。関東のチーム相手だとブレイクダウンができてから2枚ではがされることもあったが、今回2枚でしっかり出せたことが連続攻撃の中で点を取れた要因なのかなと。スクラムはフロントローが本当に頑張ってくれた。ラインアウトもスチールも多かったしその点が良かったが、細かいミスが多すぎるのでそこが反省点。
FL 末永 健雄
早稲田ということで春の目標をここにしていた。FWがセットプレーやブレイクダウンで圧倒できたが、試合の中身としては、圧倒したという感じではない。コンタクトの部分は春前からずっとやってきたので関東のチームにも当たり負けしないようになってきている。個人として久しぶりのフル出場できて良かった。後半に運動量が落ちてしまったので改善していかないと。
No.8 高田 将侑
早稲田ということでチャレンジャーとして思い切ってやろうとチームでも話していたし、個人的にもミスを恐れずにプレーした。モール、スクラムは今年の強み。そこで勝てたのは良かった。Aでやっていく以上、1つのプレーのクオリティを高くしていかないといけないし、そこが自分の課題かなと。勝ちはしたが、個々の強さとスピードにまだ差は感じた。
SO 渡邉 夏燦
前半はFWが頑張ってトライも決めてくれたが、バックスが組織のディフェンスのところで崩されたので、そこは後半に入るときに修正しようとした。後半の立ち上がりにはトライされたが、全体的には押していたしセットプレーも安定していた。当たり負けしなかったのは、春から取り組んでいることの成果が出た部分もあると思う。(ブレイクダウンは良かったが)帝京大を意識したらもっと圧倒しなければいけないとみんな思っている。今日は2枚目の寄りとブレイクダウンをフォーカスしていて、そこで当たり負けしなかったのはよかった。
SH 岩村 昂太
昨年は1点差で負けて悔しい思いをした。特別何か特別なことをやったというよりは、1つ1つの積み重ねで勝った。強いて言えばDFでセットしてから上がることを意識した。(試合前は)いつも通りやろうと話をした。BKのところで取られたのが課題。日本一の帝京に勝つまで、さらに向上心持ってやりたい。
CTB 吉澤 奨悟
(試合に臨むにあたって)いつも通りにいこうと。接点の激しさからボールを奪うことや、声出しなど自分のやるべきことをやろうと思った。試合ではフィジカルで負けている感じはなく、勝負できた。(次へむけて)勝ったのは嬉しいことだが、早稲田に勝つことが自分たちの目標ではないので、これからも自分の役割を全うして、自分たちのラグビーをしていきたい。
CTB 石田 幹太
前に1点差で負けて実力の差を感じたが、その悔しさを忘れずに練習してきた。春シーズンいろいろ修正して関西では勝っていたし強くなっている実感はあったので、いつも通り自分たちのラグビーをしようと思った。春のトレーニングの成果で、関東にもフィジカルで負けてないと感じたし、自分たちで組み立ててブレイクダウンできた。ただ、バックスとしては正直納得いっていない。コミュニケーションミスで、バックスがブレイクダウンでキープできなかったり、細かいミスが多くFWに迷惑をかけてしまった。
1 海士 広大(商3)
2 東 大樹(スポ4)
③ 才田 智(社4)
4 山田 有樹(社3)
5 森山 雄(商4)
6 野中 翔平(スポ2)
7 末永 健雄(社3)
8 高田 将侑(法4)
9 岩村 昂太(スポ4)
10 渡邉 夏燦(社4)
11 岩本 大志(理工4)
12 吉澤 奨悟(商4)
13 石田 幹太(商3)
14 木村 凌太(スポ4)
15 﨑口 銀二朗(経3)
16 中尾 勇馬(社3)
17 趙 隆泰(法3)
18 石橋 海洋(スポ2)
19 戎 勇(社3)
20 秦 啓祐(心理3)
21 大越 元気(商3)
22 永富 健太郎(スポ3)
23 小林 健太郎(経3)