12月21日、近鉄花園ラグビー競技場にて行われた選手権セカンドステージ第2戦・早稲田戦。両校とも長い歴史を持つ伝統校であるだけに、会場には多くのラグビーファンが詰めかけた。結果は17-18であと一歩及ばず敗北。2連敗を喫し、準決勝進出の道は絶たれてしまった。
アカクロのジャージー・早稲田は、絶対的エースである日本代表・FB藤田を擁する。大学3回生にして既に歴代日本代表トライランキング5位につける怪物だ。注目選手であるFL布巻副将はベンチスタート、SO小倉はベンチ外となったが、他にもLO大峯主将、SH岡田など錚々たる面々が揃っている。速いテンポからの攻撃が持ち味だ。これに対し同志社が、各組1位が出場できる準決勝へ望みをつなぐには、4トライ以上をあげての勝利が最低条件(1試合4トライ以上でボーナスポイントがもらえるため)。PGを狙える場面でもあくまで狙うはトライのみ。一縷の望みをかけ、選手たちの戦いが幕を開けた。
開始早々、先制点をあげたのは早稲田だった。「相手のテンポに飲まれてしまった」(田淵主将)。早稲田の早い展開に少しずつDFラインをさげられ、前半5分、早稲田ボールスクラムから大峯に突破を許して被トライ(0-7)。関東の強さを見せ付けられる。それでも同志社もすぐさまそのペースに対応し、少しずつDFが機能し始める。同19分には、敵陣22メートル左にて早稲田ボールスクラムをターンオーバーすると、SH大越がこぼれたボールを拾いそのままインゴールへ。SO渡邉がゴールキックもしっかりと沈め、同点に追いつく(7-7)。ここから両者一進一退の展開を繰り広げ、試合は白熱の様相を呈した。しかし同24分、早稲田にハーフライン中央の距離のある位置からPGを決められてしまう(7-10)。その後同志社も幾度となく見せ場は作り、ゴール前へと迫るもトライには繋がらない。結局PGの3点が響き、前半をビハインドで折り返す。

貴重なワントライ目をあげたSH大越

木村始めCTB陣の突破が光った
迎えた後半。前半でモールに手応えを得た同志社はモールからのトライを狙う。後半開始早々、同志社は早稲田のキックオフからボールをゲットすると、自陣から果敢に攻め込む。敵陣へ攻め入るとしばらく敵陣で停滞。すると後半10分、早稲田がペナルティを犯すと大越が素早いリスタートを見せる。一気にゴール前へと迫ると、CTB木村が大きく外に飛ばし、最後はWTB松井が走りきって逆転のトライ。しかしこれで目を覚ましたのか、早稲田も徐々に激しさを増す。互いに攻防を繰り返し、同20分、中盤にて同志社ボールの場面。大越がボールを出そうとしているところを狙われターンオーバー。ボールを受けた敵WTBに約40メートルを走りきられてしまう(12-15)。「常にトライを狙っているという姿勢に差が出た」(山神監督)。後半半分が過ぎようという場面での逆転は紺グレに焦りを与えた。すると29分にも、PGでさらに得点を追加される(12-18)。同志社にも再三チャンスは訪れるが、早稲田がそれを許さない。ゴール前でのモールのチャンスもなかなか押し切ることが出来ない。それでも彼らが勝利を諦めることはなかった。同38分、得点差6点の場面、敵陣ゴール前にてラインアウトを得ると迷わずにモールを組む同志社。しっかりと組まれたモールは早稲田FWを退け、最後は主将田淵がインゴールへ(17-18)。歓喜の声に包まれたのも束の間、WTB宮島がボールをセットすると会場は一気に静まり返る。得点差は1点。これが最後のチャンスになることは誰もがわかっていた。宮島の放ったボールは無情にもポールの右側へ。終了間際まで反撃を続けた同志社だったが、そのまま試合終了の笛が鳴り響いた。

WTBとしてしっかり仕事を果たした松井

モールから何度もチャンスを生み出した
試合後がっくりとうなだれた選手たち。4年生は次節・立命館戦で引退となることが決まった。それでもスタンドから聞こえたのは「同志社、よくやった」、「ナイスゲーム」というファンからの声。この日の熱戦は会場にいた多くの人の心に刻まれたはず。田淵組、集大成の時はまもなくだ。最後は勝利でこの一年に幕を下ろしたい。(樋向健太郎)

遂に田淵組最後の時をむかえる
コメント☆
山神監督
勝ちきることができずに残念。でもやってきたことはだせた。FWのアタックが単調になってしまっていたのを修正してきて臨んだ。やっぱり勝ちたかったというのが率直な感想。DFも頑張っていたし、死力を尽くした。ゲームプランもはまっていた。関東に勝つためには2人目の速いコミットが必要。また早い段階で縦にアタックすることも大事。80分間気を抜かないようにしないと、向こうは厳しいリーグ戦を勝ち抜いてきている。最後は勝って終わりたい。
PR 北川賢吾
こっちがスイッチ入りきらないうちに1本取られて、それが後々ひびいてしまった。ただその後は上手く切り替えてDFは前に出られたし、声も良く出てコミュニケーションもとれていたし、早稲田のテンポの速いアタックに我慢してついて行けていたと思う。スクラムは相手の1番側が軽かったので、完全にそっちに体重をかけていた。今週練習で修正してきていたので、それが上手く出せて綺麗にターンオーバー出来た。あれは良かった。
HO 東 大樹
春、自分自身初めて関東(早稲田)とやったが強いなって印象を受けた。ブレイクダウンで食い込まれていたが今日は、その感はなかった。ラインアウトでミスが多かった。少なくとも8割は決めないといけない。そこで流れをつくっていかないといけない。ターンオーバーも出来てDFでは前に出てとめられた。ブレイクダウンのところは成長したと思う。最終戦では、4年生のサポートをして勝たせたい。
PR 才田 智
スクラムはおせるという話を北川さんと話していた。関西にはない組み方をするので、慣れるまでは時間がかかった。(右肘の怪我により)周りの人は自分の出場を諦めていたが、可能性がある限り4年生とプレーするため、早稲田戦に出ることを諦める気は一切なかった。試合は負けてしまったが、この1点差、早稲田との差が何なのかを1人1人が考えて来年は1点差で勝てるチームにならないといけない。関東との差は、同志社に入学して以来、徐々に近づいていると思う。打倒関東はそう遠くない。
LO 山田 有樹
前半は相手ペースで、それでもこっちが根気よくDFして相手を止められていた。後半から勝負をかけようという話だったので、前半はあれで良かったと思う。後半からはチーム一丸となって勝とうと話していた。最後トライは取れたけど、結果的には負けてしまった。そこが弱さだと思う。自分たちのラグビーは出来てきていたけど、そこで勝ちきれないのはまだまだだということ。4回生と一緒にやれるのも最後なので、しっかり絶対に勝つという気持ちで臨みたい。
LO 森山 雄
細かいミスが多かったり、相手の方がブレイクダウンが激しかったり、そういうところで後手に回って相手のラグビーをさせてまったなと思う。ラインアウトも東海大戦から修正してきていたところを出せず、サインを出している身として反省。次戦が最。負けて終わるのは嫌なので、勝つのはもちろんだか、4回生として後輩に何か残せるような試合が出来たらと思う。
FL 土井 祐紀
勝てる試合だった。緊張からか前半1本目のトライを取られてしまったが、その後は崩れることなく自分たちのラグビーをチームとして統一し出来ていた。FWが同志社の強みで、そこでは相手より優位に立てたと思う。関東の大学らしく、早稲田はブレイクダウンでの激しさや2枚目の寄りがすごく速かった。こうした激しさや寄りの速さは関西ではなかなか経験できないので少し慌ててしまった次戦の立命館戦が自分にとってラストゲーム。次の代に何か残こせる試合をしたい。
FL 田淵 慎理
やってきたことは出せた。ただまだ精度はあげられる。それでも早稲田相手にこれだけ自分たちの強みを出せたことは後輩たちにとっても良い経験になったと思う。早稲田は2人目の寄りが早かった。関西のチームはなかなかしてこないが、1度オーバーしきっているにも関わらず、もう一回プレスをかけてきたり関東の強さを感じた。次が最終戦にはなるが、後輩に残せるもの全て残すためには勝利することが1番。同志社のラグビーをして勝てるように臨んでいきたいと思う。
NO8 秦 啓祐
前半、風下だったので別に負けていることは気にしていなかった。僅差で後半に持ち込めたので前半の戦い方としては良かったと思う。今までの試合では後半最初の10分間で相手チームに流れがいっていたが、今日は同志社が先に取れたのが大きかった。それが同志社の流れにつながった。ただ早稲田さんの方が2人目3人目の寄りが早くて、僕たちの人数が少なくなったときにターンオーバーされてしまった。集散すの速さがすごくあったので、そこは見習いたいと思う。下級生として4回生を勝たせるために出来ることを1週間しっかりやって、次は何としても勝ちにこだわりたい。
SH 大越 元気
ボールは出かけていたが、出し際で、手をかけられた。そこは対抗戦のうまさ。前試合の修正というより、自分たちのラグビーが出来てなかったのでそこを意識した。4トライ以上とらないといけない中で、PGも狙わなかったし、トライもとれたが最後自分たちのミス、つめの甘さでやられてしまった。同志社の速いテンポを意識し、藤田さんをまきこんでアタックするよう心がけてゲームメークした。
SO 渡邉 夏燦
貪欲に4トライを狙いに行った結果なので、仕方ない。自分たちのラグビーが出来て、相手の弱いところを狙いに行こうと思ってプレーしていた。小倉がいなかった分、つけいる隙はあった。勝負にこだわっていれば結果は変わっていたんじゃないかと個人的には思っている。(DFラインの裏に藤田がいたが)藤田もスペースがない中プレーしていたので裏に蹴ってもいけるなと思っていた。風あったし敵陣でプレー出来たらミスもするだろうと思った。立命館戦は勝って4回生を送り出してあげて、自分たちも来年に繋がるような試合がしたい。
WTB 宮島 裕之
同志社の悪いパターンで、試合開始すぐに簡単にトライされてしまった。個人的にはボールタッチが少なく、ボールを持てなかった。ディフェンスでは、声を出せていたしコミュニケーションはしっかり取れていた。しかし、後半、自分の簡単なミスでトライを取られてしまった。逆転のかかったコンバージョンであったが、周りの空気や点差を気にせず、特に緊張もなく蹴ることができた。しかし今試合初のキックということもあり、知らず知らずのうちに力が入ってしまっていたのかもしれない。
CTB 木村 洋紀
とにかくDFはワンラインでいくと、規律を重視して臨んだ。今週1週間しっかり練習してきて、それを出せていた。4トライ以上取らないといけなかったから、前半からBKは大きく回そうと話していた。同志社が試合で100%出せればこういう試合になる。しっかり自分たちの力を出せば今日みたいな試合に出来る。それでも負けたのは相手の方が一枚上だったということ。アタックは1人1人が近くたってまっすぐ走り込んでいくことにすごいフォーカスしていた。早稲田が出てこないDFだった分、石田とかも縦に行きやすかったと思うし、前半も大きく走れたし、アタックは良かったと思う。立命館に負けて始まったシーズンだったし、最後はそこに勝って終わりたい。後輩たちに少しでも良い財産を残せるように。そこに一番重きを置いて戦いたい。
CTB 石田 幹太
前半、相手の流れだったがDFで粘れたのがよかった。春にやったときより完成されていて、2枚目の寄りが早かった。思い通りにパスを出させてもらえなかった。同志社のアタックとDFは通用していたと思うし、勝ちたかった。ここ一番の集中力、ゴール前でも落ち着いてとりきるというところができなかったがのが敗因。最終戦は同志社らしいラグビーして勝ちたい。
WTB 松井 千士
4トライ以上を取らなければいけない状況で惜しいところまでいったが、勝てなくて先輩には申し訳なかった。(自身の逆転トライに関して)FWがつくってくれたチャンス、僕は前に走るだけだった。前の試合はスクラムでおして外にふるといった自分たちのやりたいことができなかったが、今回はふっきれて、4年生が引っ張ってくれたのでついていった。藤田選手は日本代表で、キーマンだったがそこはとめれたと思う。いいものを残してくれた4年生を、最後勝たせてあげたい。
FB 﨑口 銀二郎
膝の負傷で途中交代してしまった。同志社の流れの中、敵陣に入っての簡単なミスが多くてトライを取りきれなかった場面があった。早稲田の後半の逆転トライももったいなかった。ブレイクダウンでのターンオーバーを防ぐために、チームで2枚目の寄りの速さを徹底しようと話し合った。2本目のトライのように同志社らしいトライもあり、自分たちのアタックを見せられた。ラインディフェンスでも、流すディフェンスが上手くはまっていたと思う。
1 北川 賢吾(スポ4)
2 東 大樹(スポ3)
3 海士 広大(商2)
4 山田 有樹(社2)
5 森山 雄(商4)
6 土井 祐紀(社4)
⑦ 田淵 慎理(社4)
8 秦 啓祐(心理2)
9 大越 元気(商2)
10 渡邉 夏燦(社3)
11 宮島 裕之(スポ4)
12 木村 洋紀(法4)
13 石田 幹太(商2)
14 松井 千士(スポ2)
15 﨑口 銀二朗(経2)
16 中尾 湧馬(社2)
17 三宅 一平(法4)
18 長坂 宗一郎(法4)
19 山﨑 翔太(社1)
20 末永 健雄(社2)
21 岩村 昂太(スポ3)
22 垣内 悠輔(商4)
23 小林 健太郎(経2)