10月26日、近鉄花園ラグビー競技場にて行われた関西大学ラグビー選手権第3戦・近大戦。リーグ2連勝で勢いに乗る同志社に2連敗の近大が挑むという構図で試合開始を迎えた。
同志社の試合より先に花園で行われたのが関学大と天理大の一戦。優勝争いに絡む両校の戦いが行われた。試合は関学大が天理大に一点差での金星をあげ、リーグ3連勝を飾る。関学大とは第6戦で対峙する同志社。これでますます敗北は許されなくなった。
「大きな山場を乗り越えて、谷間の試合。メンタル的なところで調整が難しかった」(山神監督)。春に大勝していた相手・近大。同志社の勝利は手堅いものかと思われた。しかし予想に反し、試合は両校殴り合いの展開に。ベンチメンバーの宮島、大越、八木らを欠く中、結果は46-38での辛勝。苦しい展開に地力の差を見せ、なんとか3連勝を果たした。
開始3分、近大のペナルティからゴール前のラインアウトを獲得すると、いきなり敵ゴール前へと迫る。FWで圧力をかけ敵ペナルティを誘発。最後は素早いリスタートからLO山田が持ち込み、自身リーグ戦初のトライを決めた。この後のゴールもしっかりと決め、得点を7-0とする。続く11分には、敵ゴール前近大ボールのスクラムからターンオーバー、そのボールをNo.8末永が持ち出してインゴールへ。鮮やかに連続トライを奪ってみせた(12-0)。しかしここから一変、同志社にミスが多発。近大の激しいアタックに自陣での戦いを強いられる。「想定していたアタックと違い、焦ってしまった」(田淵主将)。相手SHの機敏な動きに翻弄され、ディフェンスの足が止まる。前半18分、20分と内のスペースを抜かれて立て続けに被トライ。瞬く間に試合を振り出しに戻されてしまった(12-12)。だがこのままでは終わらない。相手ペースの苦しい展開の中、少しずつ得点を重ねる。前半22分、近大のキックミスから敵ゴール前でのラインアウトを得ると、FWが一気に押し込む。最後は頼れる主将・田淵が3戦連続のトライを決め、再度相手を突き放した。すると難しい位置からのコンバージョンキックもSO垣内がしっかりと沈め、得点は19-12。27分にはCTB木村の出血交代(吉澤in)のアクシデントもあったが、27分、40分にも2本のPGを決めて、前半を25-12で折り返した。

2年ぶりのリーグ戦出場となったWTB鳥原

チームでも指折りの推進力を持つFL末永

スクラムなどセットプレーに抜群の強さを誇るPR北川

出血で途中交代も存在感を見せたCTB木村
なんとしてもリードを広げたい後半戦。しかし後半最初のトライを決めたのは近大だった。開始早々、同志社はオフサイドでピンチを招くと、最後は敵FWに近場で押し込まれて被トライ(25-17)。得点差はわずか8点。あと少しのところまで詰め寄られた。ここから試合は両校一歩も引かない殴り合いへ突入。同志社が突き放し、再び近大が8点差へと戻す。フレッシュな選手を投入し流れを変えようと試みる同志社だったが、殴り合いの構図は変わらず、せめぎ合いが続く。WTB松井の2本のトライ、モールからFL田淵のトライなど後半計3本を奪うも、近大のトライ数は計4本。動きの良い敵BK陣に翻弄され、自慢のディフェンスを見て取ることは出来なかった。それでもなんとかリードを守りきり、得点は46-38。辛くも3勝目を手にした。

この日2トライを決め、トライ王へとひた走るWTB松井

全試合トライを続けるFL田淵
今季絶対の自信をもっていたディフェンス。しかしこの一戦では前戦までの面影は感じられなかった。リーグ終盤には全勝中の関学大、ライバルの立命館が控えている。関西制覇に向け、もう一つギアをあげたいところだ。(樋向健太郎)
☆コメント
山神監督
入りが良くて逆に途中から甘くなった。メンタル的な幼さが見えた。途中焦りから前に出れないシーンがあり、仕掛けることを忘れてしまっていた。ただトライの取り方は良かったと思うし、それでも勝てたというのは大きい。全体的には出来は悪かったね。
PR 北川賢吾
雰囲気は悪くなかったんだけど、相手の時間帯が多い試合だった。自分たちよ慣れていないアタックとかされて戸惑ってしまった。DFでやられた部分で目立ったのはポイント近場のDFの甘さ。相手のハーフ、スタンドに狙われていた部分が多かった。でも、意識すれば改善できることだと思うので、一週間しっかり修正してやり直したい。
HO 東 大樹
アップの雰囲気は良かったし、試合の出だしも立て続けにトライも取れたし入りは良かった。相手のSHが上手く、それに対して同志社のセットが遅かったので、対応ができなかった。抜かれてからパニックにならないようにもっと冷静にいきたい。
PR 才田 智
同志社のディフェンスが開きすぎていて、抜かれ過ぎた。今日のような試合を勝ちきれたのが収穫。ただ、今日のような試合では、今後リーグを戦う上では厳しい。
LO 山田 有樹
今日のゲームは全然ダメ。点差もあけれず、逆につめられての勝利だったので、今のままでは自分たちが目指しているところにはいけない。勝てたことしかよくなかった。(今季初トライについては)素直に嬉しかったが、FWの前の3人が押し勝ってくれたことでできたトライだった。
LO 森山 雄
終始流れに乗り切れなかったというイメージがある。苦しんだ原因はDFの部分のところで、相手に攻められてたのにも関わらず、DFラインの整備が間に合わず遅れてしまった。ラインアウトで、プレッシャーをかけたかったが、それがかけきれず、やりきれなかった気がする。
FL 土井 祐紀
春に近大とやったときは大差で勝ったし、今日もそのくらいの大差で勝たないといけない試合だった。全体的な雰囲気とかは良かったと一瞬思ってたから、どこが甘かったんだろうって感じ。ただ、モールでのトライとかスクラムで勝ってたのは良かったと思う。
FL 田淵 慎理
トライを取られたあと、冷静にやれば問題は無いと言っていたがいっぱいいっぱいになってしまった。大体大戦からアタックを修正してきて、そこは出せたがディフェンスでごたついた。もっと相手の攻めの意図を汲み取ってディフェンスしていかないと。
NO8 末永 健雄
スクラムで優位にたてていたので、いい位置でスクラムとっていい形で攻めれたので2本のトライに繋がった。途中から同じ攻撃パターンで攻められて、そこを止めれなかったのが反省。
SH 岩村 昂太
最初からコミュニケーションが取れておらず、苦しい展開になってしまった。ディフェンスの部分では規律が守れていなくて、そこをやられてしまった。オフェンスもボールを大事に出来ていなくて、継続した攻めが出来なかった。
SO 垣内 悠輔
全体を振り返ると、オフェンスは良かった。相手のハーフからの攻撃が良かったこともあったが、戻りが遅く、内のDFが悪かった。どんな試合でも厳しい時間はあるもの。そういうときにどれだけ我慢できるかどうか。
WTB 鳥原 将司
一昨年、自分がスタメンで出た近大戦で敗れてしまったので、個人的にはリベンジのつもりで臨んだ。トライをとりたかったという気持ちがあったけれど、ある程度ゲインもできたし、自分の役割というのは果たせたのではないかと思う。
CTB 石田 幹太
チームで近大戦のビデオをみてシミレーションをしてきたが、想定外のプレーをしてきて立て直せなかった。チームとして流れにのりきれない部分があったので、来週は勢いだしてやりたい。
WTB 松井 千士
1,2試合目は内容が良かったけど、今回は悪かった。ただ勝てたことは大きかったと思う。敵バックスに翻弄された。FW陣のミスマッチでいかれてしまった。バックスがリードした方が良かったかな。向こうのラグビーに対応しきれなかったのは自分たちの弱さだと思う。
FB 﨑口 銀二郎
同志社のセットが遅くて相手についていけなかった。そこをしっかりと意識して走ったりしないといけない。今回できなかったことを修正し、何よりも勝ちにこだわっていきたい。
PR 山﨑 翔太
自分はチームの流れが行き詰まって、停滞しているときのリフレッシュをする役目があると思っている。そういう役目がある中で今日、タックルのミスでトライを取られてしまったり、ノットストレートしてしまったのはまだまだ甘いなと思う。ここから改善していきたい。
PR 海士 広大
開始後いきなりトライが2本取れて、余裕かなと思ってしまった。天理戦が終わってから流れを変えられていないので、次戦に向けてしっかり切り替えていきたい。
CTB 吉澤 奨悟
初めてのAリーグでチームがどんな状況でも自分のプレー、声で、チームを動かそうと臨んだ。Aチームで出るということは、自分のプレーがチームのプレーになるということ。もう一度、日本一になるチームのプレーを心がけていきたい。
1 北川賢吾(スポ4)
2 東 大樹(スポ3)
3 才田 智(社3)
4 山田 有樹(社2)
5 森山 雄(商4)
6 土井 祐紀(社4)
⑦ 田淵 慎理(社4)
8 末永 健雄(社2)
9 岩村 昂太(スポ3)
10 垣内 悠輔(商4)
11 鳥原 将司(政策4)
12 木村 洋紀(法4)
13 石田 幹太(商2)
14 松井 千士(スポ2)
15 﨑口 銀二郎(経2)
16 山﨑 翔太(社1)
17海士 広大(商2)
18 長坂 宗一郎(法4)
19 秦 啓祐(心理2)
20 柴田 悠司(スポ4)
21 中山 裕介(商4)
22 髙井 勇貴(スポ1)
23 吉澤 奨悟(商3)