4月27日、花園ラグビー競技場(大阪府)にて行われた関西ラグビーまつり、早稲田戦。毎年この時期に行われる早稲田との定期戦は、快晴の下、多くの観客の中で行われた。昨年、互角以上の戦いを見せた同志社。今年こそは勝利をと意気込み臨んだ一戦は、予想以上の接戦となった。スコアは24-32。軍配は昨年の大学選手権二位のチーム、早稲田にあがった。

伝統の一戦に臨む紺グレ
昨年、13-29で敗戦を喫した同志社。スコア以上に実力は伯仲していただけに、同志社の勝利への期待も大きかった。そんな中、迎えたゲーム。伝統の一戦は、早稲田のトライから幕を開けた。
開始2分、いきなりトライを奪ったのはアカクロのジャージー、早稲田だった。同志社のペナルティからラインアウトを獲得すると、ゴール前10㍍付近から一気にモールで押し込みトライ。そしてSO小倉が確実にキックを決め、得点を0-7とする。序盤は完全に早稲田のペース。同志社は速い球出しから外へ展開する早稲田のBKに翻弄される。しかしその後はトライを許さずピンチを凌ぎきると、開始12分、同志社にチャンスが訪れた。SO垣内がボールを内に返しWTB松井がポイントを作ると、HO安井がラックから素早くボールを持ち出しゲイン。早稲田のDFが乱れると、最後はPR海士がDFを振り切りトライ。垣内がゴールを決めて、同点に追いついた(7-7)。その後試合は一進一退の攻防が続く。前半23分には早稲田に2トライ目を許すも(7-12)、30分には味方のミスボールを拾った垣内が相手DFの間をすり抜けてトライ。ゴールもしっかり決めて逆転に成功する(14-12)。互いに一歩も譲らぬ展開。白熱した前半は、終了間際に垣内がPGを決めて終了を迎えた(17-12)。

チームを勢いづけるトライに加え、抜群のキック精度を見せたSO垣内

Aチーム初トライを決めたPR海士

序盤こそ押されはしたが、徐々に安定感を取り戻したスクラム
何とか前半をリードで折り返した同志社。「最初の10分が肝心。気を引き締めていけ」と山神監督の檄が飛んだ。しかしメンバーを入れ替え、フレッシュさを取り戻した早稲田の攻撃を止めることは出来なかった。後半開始早々にペナルティを取られると、PGを決められる(17-15)。後半15分にもFW戦から被トライ(17-22)。21分にもPG(17-25)、26分にも早稲田BKの技に出し抜かれて被トライ(17-32)。FWの内のDFからチャンスを作られるシーンが目立った。自陣に釘付けにされ、なかなか攻撃の機会を得られなかった同志社だったが、終了間際、徐々にDFの修正からチャンスを生み出していく。後半33分、相手ボールをターンオーバーすると、素早い球さばきから展開し一気にゴール前へと迫る。フェーズを重ねて相手DFラインを崩すと、最後はWTB松井へと繋ぎ、外へとスワーブ。DFを振り切り、意地のトライを決めた(24―32)。ここから何とか反撃の狼煙を上げたい同志社だったが、試合はここで終了。今年も関東の強豪にはあと一歩及ばなかった。

体を張ったプレーでリズムを作ったCTB木村

久しぶりにチームと合流し、トライを決めたWTB松井
接戦の末に敗北。しかし去年より点差は縮まり、オフェンス、ディフェンスともに強豪相手でも“やれる”という手応えを得た。両チームともにまだシーズンは始まったばかり。ほぼ同時点からのスタートを切ることはできた。ここからいかに差をつけることが出来るか――。この春を大きな糧として、秋には大きな実を結びたい。(樋向健太郎)
☆コメント☆
山神監督
勝てなかったのは残念だったが、手応えもあったし課題も見つかった。前回の立命館戦からチームの戦力は数段UPしていたようにも感じた。後半は頭を気をつけようと言っていたが、足が止まってしまっていた。しんどい試合でも勝てるように経験値を積まなければ。全体的にはフィジカルも通用していたし、ここ数年でも一番DFの良いチームになる気がしている。
堂守コーチ
ブレイクダウン、タックルのところでミスが生まれた。ただまだ春なのでそこまで気にする必要はない。早稲田はやりたいことがやりきれていたので、そこに同志社のミスが起きたと思っている。
PR海士広大
負けたのは悔しかったけど、トライできたときは思わずガッツポーズが出てしまった。アタックはよくできていたと思うが、もっと強化していきたい。
HO安井貴大
チームとしては手応えはあったけど、個人的には反省が多かった。でもコンタクトでは負けてなかったし、そこに差は感じなかった。後半ミスが多く敵陣でプレーできなかったので、そこを修正していきたい。
PR才田智
やってみて早稲田と差はなかったが、相手と比べて勝ちきるところがなかった。ただ同志社もチームとしての力はついてきていると思う。去年より良くなってきている。
LO山田有樹
前半はペースが良くて勝てると思った。ウエイトの部分では負けていなかったが、スピードやプレーの考え方の差だと思った。
FL土井祐紀
強豪相手に思っていたよりやれた。でも後半は気の緩みや早稲田の迫力にやられてしまった。今後は練習からしっかり試合をイメージして厳しくやっていきたい。
FL田淵慎理
関東に対し、冬場鍛えてきたフィジカルの部分が通用したのでそこは収穫だった。前半リードできたのはディフェンスで粘って相手のミスを誘えたからで、後半はそこを徹底できなかったのが負けた原因だったと思う。後半の頭も集中しようと言っていたが、そこは早稲田のほうが一枚上手だった。ただ関東に対して差は感じなかったし、課題も見つかったので良かった。
NO8秦啓祐
前半はお互い良いラグビーだった。後半の入り、早稲田のほうが試合を知っていて自分たちが甘く入ったところをやられてしまった。勝てない相手ではなかったので、全員がラグビーを理解していなければならない。
SH岩村昂太
オフェンス、ディフェンスともにミスが多かった。後半はボールも回らなかったし、ディフェンスばっかりやっていた印象。早稲田との差は特に感じなかったので手応えはあった。
SO垣内悠輔
前半は負けている気はしなかった。後半のディフェンスで粘れず自分たちの形に持っていくことができなかったので流れが悪くなってしまった。前半のトライはミスをカバーした時にできたギャップをついてトライできた。あの時間帯にトライできて良かった。
WTB宮島裕之
前回の試合よりはボールタッチが増えたのでそこは良かった。でもDFで一本抜かれてしまうシーンがあったので、一本も抜かれてはいけないということを肝に命じて確実なプレーをしていきたい。
CTB木村洋紀
前半はやってきたことが出せた。課題は後半の入り方。マイボールになってもミスをして悪い流れにしてしまっていた。BKはディフェンスを頑張らなければならないと思うが、トライされずにターンオーバーできたシーンもあったのでそこは良かった。
CTB吉澤奨悟
前半は手応えがあった。後半は攻められた後に自分たちの攻撃のシーンを作るべきだった。もっと展開できていれば、楽に得点もできたと思う。早稲田の球出しを遅らせることができなかったのも後手に回った原因だったと思う。
WTB松井千士
前半は同志社ペースで試合を運べたが、後半の開始10分がダメだった。でもラスト10分は自分たちのラグビーができた。そこで同志社らしくサイドに展開してトライが取れたと思う。
FB小林健太郎
DFではよく粘ることが出来て、相手のミスを誘う事ができた。この強みを極めていき、さらに早稲田のようなここぞという場面での集中力を身に付けることで、さらに強くなりたい。
SH大越元気
途中からテンポをあげろということで試合に出た。周りのFWとのコミュニケーション不足もあり、テンポをあげることができなかった。疲れた時の集中力が大事。
1海士広大(商2)
2安井貴大(政策4)
3才田智(社3)
4山田有樹(社2)
5八木智彦(スポ4)
6土井祐紀(社4)
⑦田淵慎理(社4)
8秦啓祐(心理2)
9岩村昂太(スポ3)
10垣内悠輔(商4)
11宮島裕之(スポ4)
12木村洋紀(法4)
13吉澤奨悟(商3)
14松井千士(スポ2)
15小林健太郎(経2)
16東大樹(スポ3)
17趙隆泰(法2)
18長坂宗一郎(法4)
19柴田悠司(スポ4)
20石田幹太(商2)
21大越元気(商2)
22渡邉夏燦(社3)
23岩本大志(理工3)